私は英文法の学習というのは、英語の「読む、聞く、書く、話す」の4技能を効率的に上達させるためには、基本的には避けては通れないものと思っています。
しかし、「英文法なんて勉強しなくてもいいんじゃないの?」「文法なんか考えてたらしゃべれないよ」ということを言う方もいます。
これは、本当に昔から言われていることです。英文法悪玉論というやつですね。これは本当なのでしょうか。今回は、この昔から言い続けられている意見について、私の考えを書いていきたいと思います。
英会話に英文法は本当に不要か
仮に、英文法が全く分からないとすると、どうなるでしょうか。
- 丸暗記したフレーズを除き、英文の意味が正しく分からない
- 丸暗記したフレーズを除き、言いたいことを文の形で正しく伝えられない
もうこれで答えが出てますよね。英文法を意識していようがいまいが、英文法が正しく身についていて使えないと色々と困るはずです。
簡単な英会話の場を、丸暗記したフレーズと単語とジェスチャーのみで乗り切ることは可能だと思います。
しかし、英語が出来るようになりたいと思って勉強している人の目標は恐らくそこじゃないですよね。
したがって、「英文法を使えるようになることは、英会話でも必要」ということになります。
英文法を学習することは英語を上達させる特急券のようなもの
英語を「赤ちゃんが言葉を覚えるように」学ぶ…?
英語で正しく読む、書く、聞く、話すためには、英文法を身につけることは必須です。では、どうやって身につけるのがいいのでしょうか。
英文法は、英語のルールのようなものをまとめたとても便利なものです。
英文法の学習をせずに英語を扱えるようになるには、それこそ大量に英語に触れ、フレーズを暗記していく上で自然にそのルールを学んでいかなくてはなりません。
「ネイティブの赤ちゃんが言葉を覚えるように」とか「ネイティブは文法を勉強してない」なんて言われると、良さそうな勉強法に聞こえますよね(笑)
多読多聴しかやらないような勉強法や、最低限の準備もなしに英会話の実践や留学に行くようなものがそれでしょう。
しかし、個人的にはこれはかなり効率の悪い学習法ではないかと思います。
例えば、数学で各種公式や定理などを学ぶことなく、大量の数学の問題にふれる中で自然とその公式を自分自身で見つけてマスターするようなものです。
もちろん、勉強にはなるでしょうが、普通に考えたらかなり効率が悪いです。というか、普通は自分で三平方の定理とか気づける気がしませんよね…。
あらかじめ、先人がそういったルールを分かりやすくまとめてくれているのだから、それを英語学習に利用しない手はありません。
英文法は、英語上達への近道、かなりのショートカットをさせてくれるツールだと思います。
英語学習者である私たちは赤ちゃんではない
当たり前の話なのですが、私たちは赤ちゃんではありませんよね。赤ちゃんと同等の言語習得能力を持っている事も、多分ないでしょう。
そんな私たちが、英語のネイティブスピーカーの赤ちゃんと同じ方法で英語を身につけるのは、少し無理があるのではないかと言わざるを得ません。
では、赤ちゃんでもない私たちが実際に、先程の多読多聴や実践のみの学習を続けるとどうなるでしょうか。参考として、私が出会った実践例を紹介します。
中学英語が分からない状態で1年留学したら…?
私は今までに、「中学レベルの語彙、文法があやしい状態」で交換留学にいった高校生を何人も見てきました。彼ら彼女らは皆1年くらい留学するのですが、大体の子が
- 英文を読むのがすごく速くなって
- 英語を口から発することに抵抗が少なくなって
- リスニング力がそれなりに上がって
帰ってきます。「いいじゃん」と思った方が多いでしょうが、もう少し正確に書くと…
- 英文を(不正確に)読むのがすごく速くなって
- (超絶ブロークンな)英語を口から発することに抵抗が少なくなって
- リスニング力がそれなりに上がって(るけど、聞こえたものの意味がわかっていない)
英文の理解度や語彙などが留学前とあまり変わってないことが多いんですよね。全然理解出来ていないのに、勝手に意味を想像(創造?)してそのままどんどん読み進めてしまう。
しかも、本人はそれで「スラスラと正しく読めている」と感じています。これは修正が結構大変です。
実際、帰ってきてから英検準2級とか2級を受けることも多いですが、普通に落ちたり、ギリギリ合格だったりします。
発音も、教えてくれる友達と仲が良くなった子なんかは上手くなっています。抵抗が少なくなるという感覚自体はとても大きな収穫です。
しかし、やはり文法が身についていないので、めちゃくちゃな英文が口をついて出てきます。聞いてみると、向こうの友達や先生にもたくさん直されたようです。
これがせめて、「中学英語がちゃんと理解出来ていて、瞬間英作文出来るような状態だったら伸びが全然違っただろうなぁ…」といつも思います。
日本でしっかりと準備をしていれば、もっと留学先の友達や先生と濃いコミュニケーションを取れたでしょう。さらに、だからこそ得られるような貴重な経験をすることもたくさん出来たと思います。
せっかく高校生という良い時期に1年近くも留学するのに、「とりあえず、行きゃ何とかなるでしょ」はちょっともったいないですね。
やはり、外国語としての英語学習は意識して文法のトレーニングが必要だと思います。
英文法を頭で考えて英語を話そうとするから話せない?
これは半分本当で半分が誤解です。まず、確かに英語を話す時に英文法を頭でいちいち考えて英文を組み立てていてはスムーズには英語は話せません。
しかし、これは文法を勉強しているからそうなるのではなく、「文法の学習、トレーニングが不十分」だからです。要は「英文法が必要かどうかとは別の話」です。
当然、いちいち頭で「えーと、昨日のこと言いたいから動詞を過去形にして…」みたいに考えないといけないレベルではまだまだ足りません。
中学で学習するようなレベル、出来れば高校の基礎レベルの文法項目の例文レベルは瞬時に言えるように練習、トレーニングする必要があります。
要は、簡単な内容なのに文法を考えてゆっくりと話してしまう原因は「ただのトレーニング不足」です。これは日々の地道な積み重ねで必ず上達します。英文法を勉強したから英文法を瞬時に使えないのではありません。
英会話は勉強というより、楽器やスポーツのようなトレーニングという感覚を持って下さい。
英文法を考えながら英語をしゃべるレベルから抜け出すためには?
各英文法項目を単に理解しているだけの状態と、自由に扱える状態というのは天と地ほどの差があります。
では、どうすれば「英文法をゆっくりと頭の中で考えながらしゃべる」レベルを抜け出すことが出来るのでしょうか。
- 自分が使う可能性のある表現を全て丸暗記する
- 瞬間英作文、口頭英作文というトレーニングにより、意識せずパッと使える文法を増やしていく
主に、この2つのどちらかの方法かなと思います。私はどちらかをおすすめするのではなく、目的ごとに両方やることをおすすめしています。
今は、1の方法で使える教材も、2の方法で使える教材も良いものがたくさんあります。
今までに何度も英会話は諦めたという人でも「正しい方法で、長い目でみて、継続すること」さえ出来れば、誰でも目標を達成することが出来ると思います。
この2つは同時進行で行うことは出来ますが、どちらかひとつを先にやるとすると2の方法の瞬間英作文というトレーニングをおすすめします。
まずは意識せず簡単な文法をある程度自由に使えるようになることを目標にしましょう。
瞬間英作文、口頭英作文での英会話トレーニングについてはこのサイトの
「瞬間英作文とは?効果を上げる教材と使い方」や、このトレーニング方法を一気に広めた(と私は思っています)「英語上達完全マップのHP」などを参考にして下さい。
瞬間英作文、口頭英作文と聞いて、
「ああ、それ知ってるよ。不自然な受験英語をひたすら練習するやつでしょ?あんなの言えるようになっても意味ないからやめた」と言う人もいるかもしれません。
そんな方も、ぜひこの記事を全部読んだあと、再挑戦してみて下さい。受験英語についてもまた別の機会に書いてみたいと思います。
瞬間英作文、口頭英作文は実際に言う機会のない不自然な英語?
昔のネイティブチェックが入っていないような本を使ったトレーニングなら、そういう面もあるかもしれません。
しかし、最近は「毎日の英文法」のように、ネイティブの方が例文を書いていたり、ネイティブチェックがしっかり入っている本も多く出版されています。
そういった教材なら、最初から自然な表現でトレーニングが出来るようになっています。例文に使われている英単語を自分が実際に使いそうな英単語に修正して練習するとより効果的です。
ですが、瞬間英作文の一番最初の段階は、英文法を正しく、瞬時に扱えるようにするためのトレーニングなので、あまり気にしすぎる必要はないかと思います。
多少不自然でも、とにかく英語がペラペラ喋れるようになるのが最優先
そもそも、「英語がしゃべれない」と困っている人のほとんどは、「自分の話す英語が不自然で困っている」というより「そもそも口から英語が出てこない」という人が圧倒的に多いのではないでしょうか。
瞬間英作文を扱った英会話本にもよく書いてあることですが、一度「騙されたと思って1冊やりきって」下さい。おそらく他の「英語がしゃべれない」と困っている人からみて、「この人英語ペラペラだな」と思われるレベルにはなると思います。
また、英語を話せるようになるためには、英文法を自在に使えるようにするトレーニングと日常会話の定型表現の暗記トレーニングの両方が必須なのは間違いありません。日常会話に必要な自然な英語表現などは、対話フレーズ集や英会話表現集などを使っていくらでも仕入れていくことが出来ます。
英会話は「インプットする→実際に使う→修正する」のくり返しです。最初から完璧は無理です。
英文法を自由に扱えることを料理に例えて考えてみる
文法学習は全ての土台のようなものです。乱暴ないい方をすれば、文法が自由に扱えるようになれば、後は語彙や表現を詰め込んでいきつつ、実践で使いまくるだけです。
自然不自然の問題も、この過程でどんどん修正していけると思います。
料理でいうと、文法はベースの料理みたいなものです。例えば、パスタってありますよね。あのパスタという料理がベースになる文法と考えて下さい。
そして、パスタにも色々な種類がありますよね。それがその時々の表現だと考えて下さい。ボロネーゼだろうが、ボンゴレ・ロッソだろうが、基本はパスタです。
瞬間英作文、口頭英作文でのトレーニングはその基本部分をしっかりと出来るようになろうというトレーニング方法です。
ここを無視すると、上の例で言うと「食えりゃいいんだろ、食えりゃ」と適当に食材をごちゃ混ぜにしたものを出すようなものです。
逆に、しっかりとパスタの作り方の基本を押さえていれば、材料を変えたり、少しアレンジしたりするだけでちゃんとしたものがたくさん作れます。
出される相手からすると、ちゃんとしたパスタを出された方が良いですよね?英会話の場合もそれと同じようなものだと考えて下さい。
会話の流れや文章の組み立てなどは料理で言うとコース料理みたいなものでしょうか。これについてもまた書いてみたいと思います。
最後に
私の考えを述べてきましたが、どうでしょうか。英文法は便利なものなので、毛嫌いせずにしっかりと勉強しましょう。
特に中学レベルの瞬間英作文、口頭英作文は本当におすすめのトレーニング方法です。ぜひ「瞬間英作文とは?効果を上げる教材と使い方」という記事も合わせて読んでみて下さい。
効果が出るまでは疑心暗鬼になるかもしれませんが、長い目でみて、毎日コツコツと継続していくと必ず「あれ、結構喋れるじゃん」というブレイクスルーを経験出来ると思います。
「この英文の型で言えばいいのは分かるんだけど、単語がわかんないな」と思うことが多くなればしめたものです。(そういう時の対処法は単語を覚える以外にもあります。)
そうなれば、あとは単語や表現をたくさん仕入れていきつつ、実践するだけです。
そして、実際の英会話で、
「自分の言えなかったこと、分からなかったことを調べたり教えてもらったりして修正する」
これをくり返しましょう。どんどん上達していくと思います。少しでもみなさんの参考になったり、モチベーションにつながればうれしいです。
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