英語学習では「まず中学レベルの英文法をしっかりと身につけることが大切」とよく言われますよね。
では、その先の高校英文法はどうなのでしょうか。高校英文法というと、「中学と違って新しいことがたくさん出てきて量が多く、細かいことまで覚えないといけない」と思っている人や、「何となく難しそう」と感じているだけで、実際どんなことを学習するのかよく分かっていないという人も多いのではないでしょうか。
今回は、「英文法で高校英語で初めて出てくる内容ってどれくらいあるんだろう?」と疑問に思っている人のために、「高校で新しく習う英文法」について、主なものを紹介します。
関連記事:【英文法】総合英語はどれがおすすめなのか?『総合英語Evergreen』『ジーニアス総合英語』『アトラス総合英語』
高校で新しく習う英文法 一覧
時制
過去完了形
She had finished the work when I visited her.
私が彼女を訪ねた時、仕事を終えてしまっていた。
「過去のある時点における完了・結果、経験、継続」を表すことができます。中学英語で習う現在完了形がしっかり身についているとスムーズに理解ができます。
関連記事:過去完了形の使い方と訳し方、現在完了形・過去形との違いを分かりやすく解説!【英文法の苦手を克服】
未来完了形
I will have lived in Tokyo for ten years next April.
次の4月で東京に10年住んでいることになる。
基準となる時が未来の一点(上の例文では「次の4月」)になります。こちらも過去完了形と同じく現在完了形の応用のようなものです。
過去完了進行形・未来完了進行形
過去完了進行形・未来完了進行形はその名前のとおり、それぞれ「過去完了形」「未来完了形」と進行形を合体させたものです。
I had been watching TV for two hours when my mother came back.
お母さんが戻ってきた時、私は2時間テレビを見ていた。
助動詞
助動詞+ have p.p(完了形)
She may have been at home.
彼女は家にいたかもしれない。
助動詞と完了形を合体させたものです。
関連記事:助動詞+完了形(have+過去分詞)の一覧と使い方・訳し方【英文法の苦手を克服】
助動詞の慣用表現
助動詞ではその他、
- may well(おそらく~だ。~するのももっともだ。)
- might as well A as B(Bするのは、Aするようなものだ。)
- would rather A than B(Bするより、むしろAしたい)
などの表現を学習します。
仮定法
仮定法過去・”I wish” を使う願望を表す仮定法表現は2021年の学習指導要領からは中学英語の範囲になりましたので、ここでも上記の2つは中学英語と考えます。
仮定法過去完了
If I had had more money, I could have bought it.
もしもっとお金があったなら、それを買えただろう。
関連記事:英語の仮定法過去・仮定法過去完了の使い方・訳し方、直説法との違いなど分かりやすく解説!【英文法の苦手を克服】
未来のことの仮定を表す仮定法
If you were to live to be 400, what would you do?
もし、400歳まで生きるとすれば、あなたは何をしますか。
関連記事:仮定法 未来のことの仮定を表す「were to と should の違い」を解説!【英文法の苦手を克服!】
If only(願望を表す仮定法表現)
If only I had more time!
もっと時間があればいいのになぁ!
関連記事:【仮定法】I wish と If only の意味、使い方、違いをわかりやすく解説!【英文法の苦手を克服】
「~がなかったら」の表現
- If it were not for ~
- If it had not been for ~
- Without ~
- But for ~
仮定法の重要表現
他に、
- as if+仮定法(まるで~かのように)
- it is time+仮定法(~の時間だ)
という表現も学習します。
受動態
(助動詞・完了形・進行形)+受動態
- must be finished
- has been repaired
- is being built
高校英語では、こんな感じで受動態と合体させるパターンを学習します。中学英語で勉強したことが理解出来ていればすんなりとマスターできるでしょう。
群動詞の受動態
I was laughed at by him.
彼に笑われた。
「群動詞を使った文を受動態にする時に、前置詞(上の例文では at )を勝手に抜かさないようにしましょう。at by となって少し変な感じがしますがこれで正しい英文ですよー。」といったことを習います。
不定詞
使役動詞・知覚動詞を使った原形不定詞は2021年の学習指導要領からは中学英語の範囲になりましたので、中学英語と考えます。
関連記事:「原形不定詞・知覚動詞・使役動詞」を完全マスター! make, let, have, get, の違いや受動態なども解説します!【英文法の苦手を克服!】
知覚動詞が補語(C)に現在分詞を取るパターン
I saw him crossing the road.
彼が道路を渡っているところを見た。
be動詞 + to do
We are to meet at the station at 9 a.m.
私たちは午前9時に駅で会うことになっている。
他にもいろいろな意味を表すことができる表現です。
関連記事:不定詞 「be + to do」編!助動詞に準じる5つの意味を完全マスター!覚え方も紹介【英文法の苦手を克服!】
不定詞+完了形
He seems to have been rich.
彼は金持ちだったようだ。
関連記事:完了形の不定詞(to have 過去分詞)とseem型の動詞、時(時制)の組み合わせを完全マスター!【英文法の苦手を克服!】
- 不定詞の否定(not to doなど)
- 不定詞の受動態(to be 過去分詞)
こんな表現も高校英文法で習います。中学で習ったことを組み合わせる感じですね。
動名詞
動名詞の否定(not ~ing)
完了動名詞(having 過去分詞)
動名詞の受動態(being 過去分詞)
動名詞の主語を表す表現(所有格or目的格 ~ing)
分詞
補語(C)で使われる分詞
He sat surrounded by his children.
彼は自分の子どもに囲まれて座っていた。
中学英語で習う現在分詞、過去分詞の理解が必須です。
他には「付帯状況のwith」も高校で習いますね。”with his eyes closed (目を閉じたまま)”のようなやつです。
分詞構文
Seeing me, he ran away.
私を見ると、彼は逃げ出した。
分詞構文も高校英語で初めて習う単元です。
「実はそんなに難しくないのに、その名前からか必要以上に恐れられている英文法単元」というイメージです。こちらももちろん中学英語の分詞の理解が必須になります。
関係代名詞
関係代名詞の what
What he is saying is not true. (主語)
彼の言っていることは本当ではない。
関連記事:what「疑問詞・関係詞」4つの用法・意味と使い方【英文法の苦手を克服】
関係副詞
This is the city where I went last month.
ここは私が先月行った街です。
複合関係詞
I’ll give you whatever you want.
君の欲しい物は何でもあげよう。
関係形容詞
I’ve read what books I have.
私は持っている全ての本を読んだ。
連鎖関係代名詞
He is the man who I thought was your father.
彼は、私が君の父だと思っていた人だ。
連鎖関係詞も高校で習います。
関連記事:連鎖関係代名詞とは?節の挿入?基本的な考え方からwhat使用や 省略パターンまで完全マスター!【英文法の苦手を克服!】
比較
比較は本当に苦手にしている人が多いです。最初はややこしく感じてしまうと思いますが、一度しっかりと理解してしまうともう間違えなくなると思います。
the 比較級
The sooner, the better.
早ければ早いほどいい。
no more 比較級
I have not more than 10,000yen.
私は多くても10,000円しかもってない。
関連記事:比較 「 no more than, no less than, not more than, not less than 」意味の違い、覚え方・考え方をまとめて完全マスター!【英文法の苦手を克服!】
Mary is no more a genius than I am.
メアリーが天才でないのは、私が天才でないのと同じだ。
悪名高い?「クジラ構文」も解説しています。
関連記事:【英文法の苦手を克服!】比較 クジラ構文 「 no more A than B 」を完全マスター!ネイティブも使わない英語?とんでもない!
強調構文
It was yesterday that Tom broke the window.
トムがその窓を壊したのは昨日だ。
苦手な人がかなり多い英文法単元ですね。単に最後の方に習うからちゃんと勉強してなかったりするだけということも多いですが……
関連記事:英強の強調構文の訳し方・作り方、形式主語構文との違いと見分け方【英文法の苦手を克服】
話法
He said that he was busy.
自分は忙しい、と彼は言った。(間接話法)
話法も高校で学習する英文法の中で苦手にしている人が多い単元ですね。簡単な直接話法(I said, “○○.”)などは中学でも出てきますね。
関連記事:英語の話法とは?直接話法・間接話法・描出話法の基本について分かりやすく解説!【英文法の苦手を克服】
最後に
こうしてみると、結構このサイトでも解説記事を書いている単元が多いですね。基本的には「苦手な人が多い」と感じているものをピックアップして記事を書いているので、高校英語の範囲が多くなるということですかね。
あと、高校で初めて勉強する英文法単元は「思ってたよりも少ない」「中学でやった英文法とそこまで違いがないのでは?」と思った人もいるのではないでしょうか。中学英語よりも難しいと感じる高校英文法も、そのほとんどは中学英語で学習する英文法が土台となっていて、その土台にどんどん付け加えたり、既に習ったこと同士をくっつけたりする感じで学習が進んでいきます。
したがって、このサイトでも何度も書いていることですが、中学英文法に抜けがあると致命的です。「英文法が苦手で……」という人は中学英語が出来ていないのに高校レベルのことを勉強してたりすることが本当に多いので、不安のある人は一度しっかりと中学英語を復習しておくことをおすすめします。中学英文法がしっかり身についているかどうかは、英語の上達スピードに直結します。
関連記事:『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』をレビュー!中学レベルの英文法参考書はこれ1択。瞬間英作文用の教材としてもおすすめです。
高校英語をひと通りざっと学びたいという人は「『高校の英文法が1冊でしっかりわかる本 肘井学』をレビュー!社会人のやり直し英語にもおすすめ」こちらの記事で紹介している本などを使って学習するのがおすすめです。
また、中学英文法を学習したくらいから英英辞典を使い始めるのもおすすめです。英英辞典に早くから慣れておくと、その後の英語力の伸びが違います。英語多読をしている人は是非Kindle版の英英辞典を使ってみてください。
関連記事:【英語多読】Kindleで学習英英辞典を使って英単語を調べる方法