比較 クジラ構文 「 no more A than B」の意味と考え方を完全マスター!ネイティブも使わない英語?とんでもない!【英文法の苦手を克服!】

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A whale is no more a fish than a horse is.

今日はこの英文に使われている英文法「比較」について説明していきます。この英文を見た瞬間「出た…」と拒否反応を起こす人もいると思いますが、安心して下さい。

この記事の説明を読み終われば、いわゆる「クジラ構文」と言われるこのタイプの英文はすっきりと理解出来るようになっているはずです。

また、なぜか「こんな表現ネイティブは使わない!」と言う人も多い項目ですが、ちゃんと実際に使われる表現ですので安心して勉強して下さい。その点についても後ほど例を挙げて説明します。

比較 クジラ構文「 no more A than B 」とは?訳し方と考え方

2頭の馬
クジラ構文の典型的な例文
A whale is no more a fish than a horse is.

この比較 クジラ構文「no more A than B」を理解するのに大切なことは

  • 2つのことを比べている
  • no は「差がゼロ」を表す
  • no が more を強く否定し「~なんてとんでもない」を表す
  • than は「どれだけありえないのか」を表すための引き合い

この4つのポイントをしっかりと理解出来ていれば大丈夫です。「~でないのと、~でないのは同じだ」というのをそのまま覚えるよりも分かりやすいし、色んな場面でパッと英文が理解出来ると思います。

クジラ構文って名前がついていますが、これも比較の文ですので必要以上に恐れないようにして下さい。

比較は2つのことを比べている

まず、クジラ構文は比較の文ですので、この場合も2つのことを比べています。この例文では、

「A whale is a fish」と「a horse is ( a fish )」を比べています。

どんな点で比べているかというと、この場合は「 a fish 」という点で比べているわけですね。とりあえず「魚」とか、「魚っぽさ、魚度」とでも言えばいいでしょうか(笑)

要は「クジラと馬の、魚っぽさ」を比べているわけです。まずこれを理解して下さい。形容詞ではないので、魚っぽさというのは厳密にいうとおかしいかもしれませんが。

どっちがより魚か」ということですね。

no は「差がゼロ」を表す

次に、「 no more 」の no です。

これは「比較しているものの差がゼロ」ということを表します。つまり、「クジラと馬の魚っぽさ」を比べた時に「どちらがより魚であるかに差がない」ということです。

クジラと馬の、魚度は同じ」です。

no が more を強く否定し「~なんてとんでもない」を表す

no が more を強く否定します。not よりも強く否定することになりますので、

「~より上なんてことは決してない→~なんてとんでもない、ありえない」というようにイメージ出来ればOKです。

クジラ構文「no more A than B」の than は「どれだけありえないのか」を表すための引き合い

than a horse is ( a fish ).

クジラの例文ではこの部分です。「馬が魚である」というのはありえないですよね?

こういう「ありえないこと」を引き合いに出すことで、それと「クジラが魚である」というのは同じレベルでありえないことなんだよということが言いたいのです。

比較 クジラ構文「A whale is no more a fish than a horse is.」のまとめ

A whale is no more a fish than a horse is.

4つの材料が全部揃ったので、それを使ってこの有名な例文を考えてみましょう。

「クジラが魚であるというのは、馬が魚であるのと同じくらいとんでもない」

つまり、クジラは魚なんかでは決してない。ということが言いたいわけですね。 than 以下はどれくらいありえないかを表すために引き合いに出された、おまけのようなものとも言えます。

これを少し言い換えると、クジラ構文の定番の訳「クジラが魚でないのは、馬が魚でないのと同じだ」となるわけですね。別にこの形で必ず訳さないといけないわけではありませんが一応。

どうでしたか?一度しっかりと理解しておくと、英文で出会うたびに慣れてくると思います。暗記した和訳を当てはめるやり方よりも、考え方自体を理解しておくのがおすすめです。

他の例文を1つあげておきますので、ここまでで学んだのと同じように考えてみて下さい。今までの内容が理解できていれば余裕だと思います。

Mary is no more a genius than I am. genius = 天才

比較 クジラ構文「 no more A than B 」は英語のネイティブも使わない表現?

レゴ兵士が2人

このタイプの比較「no more A than B」の英文を「ネイティブも使わない英語!」と言う人がたまにいますが、使われますのでちゃんと理解しておきましょう。

これはひょっとしたら「 A whale is no more a fish than a horse is. 」という英文を英語のネイティブスピーカーが言わない!という意味なのかな?とも思いますが、同じ構文はよく使われます。

「クジラ構文は本当にネイティブも使わない英語なのか」データで考える

「表現英文法」の著者である、田中茂範先生の「データに見る現代英語表現・構文の使い方」という本があります。

この本は受験英語の使用実態を英語のネイティブスピーカー100人(20~55歳の平均31.2歳、高卒4人、大学卒65人、大学院卒25人、不明6人)に調査したデータをまとめたものですが、この本でも、

比較 クジラ構文のno more ... thanの使用率、改まり度・自然さ度

no more … thanの個人使用率

  • ビジネスレター 69%
  • くだけた会話 94%
  • 改まった会話 88%

no more … thanの改まり度・自然さ度(各5段階評価の回答者平均値)

  • 改まり度 2.8
  • 自然さ度3.7

田中茂範「データに見る現代英語表現・構文の使い方」

このような結果が載っています。

この本では、80%を超えると「使用率がかなり高い」表現となっているので、会話では普通によく使われる表現のようですね。

50~79%は「どちらかと言えば使用率が高い」表現となっていますので、ビジネスレターでもどちらかというと使用率が高い表現のようです。

また、Google books Ngram Viewerという、Googleの持っている古今の大量の書籍データの中から、ある単語や表現がどのくらい使われているのかなどを調べられるサービスがあります。

先ほどの田中茂範先生の本は90年の出版なので、「古いデータで信用ならん!」という人はこちらで調べてみて下さい。

例えば、Google books Ngram Viewerで「 no more * than 」などと入れて調べてみると、色々な表現が使われているという結果が出てきます。

「 no more * than 」は「 no more effective than 」などのように、「 no more と than 」の間に1単語だけが入るパターンです。

もちろん、次の例のようにこの構文は1単語でない場合も沢山ありますので、実際はもっと多く使われているはずです。

クジラ構文が実際に英語のネイティブスピーカーに使われた例

次は、実際にクジラ構文「no more A than B」が使われた英文を1つみてみましょう。

有名どころでは、2013年のオバマ元アメリカ大統領の2期目の就任演説で出てきていますね。こちらです。

For the American people can no more meet the demands of today’s world by acting alone than American soldiers could have met the forces of fascism or communism with muskets and militias.

引用元:Inaugural Address by President Barack Obama

ちょっと気付きにくいかもしれませんが、ちゃんと「 no more ~ than 」の形で出てきていますね。

先ほどのデータとこの就任演説の例で、「クジラ構文はネイティブも使わない表現」というのは否定されたかと思います。

この演説は有名なので知ってる人もいるかもしれませんが、一応少し解説しておきます。

  • fascism or communism は「独裁主義と共産主義」ですが、「第2次大戦と冷戦」のこと
  • muskets and militias は「マスケット銃と民兵」ですが、これは「独立戦争の時に使った武器と兵」のこと

まず、この2つを前提知識として知っておきましょう。その方が、この英文の理解がよりしやすくなると思います。

「英語は、英語圏の歴史的な背景や文化などが分からないと理解出来ない」と言われますが、これもその1つの例でしょうか。初心者の方はあまり気にしすぎる必要はないと思います。

まず

アメリカ軍が(独立戦争の時代の武器である)マスケット銃と民兵で、独裁主義(第2次大戦)・共産主義(冷戦)と戦えた American soldiers could have met the forces of fascism or communism with muskets and militias

という「ありえない例」(独立戦争時代の戦力で第2次大戦と冷戦は戦えませんよね)と

アメリカの国民が単独で今日の世界の要求に応える meet the demands of today’s world by acting alone

ということを、no more ~ than の形を使うことで「その両者の差がゼロ」で、2つの内容をどっちも「~なんてとんでもない(ありえないことだよ)」と強く否定しているわけです。

アメリカ国民が単独で世界の要求に応えることが出来るってのは、(独立戦争の時代の武器である)マスケット銃と民兵で、独裁主義(第2次大戦)・共産主義(冷戦)を戦えたというのと比べて同じくらいとんでもないことだ

要は、「アメリカ国民が団結しないと今日の世界の要求には応えられんよ」

ってことですね。

「アメリカ国民が単独で世界の要求に応えることが出来る」ということがどれだけありえないことかの例として「独立戦争時代の戦力で第2次大戦と冷戦を戦う」ということを引き合いに出しているわけです。「これくらいありえないんだぞ」と。

これを少し言い換えると、クジラ構文の「アメリカ国民が単独で世界の要求に応えられないのは、(独立戦争の時代の武器である)マスケット銃と民兵で、独裁主義(第2次大戦)・共産主義(冷戦)を戦えないのと同じだ」となります。

最後に

今回は、有名な比較のクジラ構文「no more A than B」を解説しましたが、どうでしょうか。ただ和訳を覚えて当てはめるよりも、この記事で解説したようなことをしっかりと理解して上で読むほうが近道だと思います。

クジラ構文は本当に苦手な人が多いので、この記事を読んだ人が少しでも苦手を克服できればいいのですが…。英文を前から読んで一度でしっかりと理解出来るくらい慣れておきたいですね。

Kindle版の英文法書を使うと疑問点などを調べる時にかなり便利です。効率よく英語学習を進めることが出来ると思いますので、1冊は持っておいて損はないでしょう。

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英語をたくさん読んだり聞いたりして、実際に使われている英文に出会うことも大切です。

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