「急に苦手な人が増える英文法の難しい単元・項目」をピックアップして解説するシリーズ、今回も比較です。
前回の「【英文法の苦手を克服!】比較 クジラ構文 「 no more A than B 」を完全マスター!ネイティブも使わない英語?とんでもない!」という記事ではクジラ構文について説明しました。
今回は
- no more than
- no less than
- not more than
- not less than
についての説明です。これも、
「どう違うんだよ…」
という状態になってしまっているのに、整理せずにそのまま放置している人が結構いますよね。
前回の「 no more A than B 」の記事の内容がしっかりと理解出来ていれば、考え方は同じなのですぐにマスター出来ると思います。(もちろん、この記事だけでも理解出来るように書きますので安心して下さい)
一度理解しておくともう間違えないと思いますので、この機会に完全マスターしてしまいましょう。
比較 not more than, not less thanの意味の違い、考え方
比較 not more than の意味と考え方
これはただの否定です。
「 more than (~より多い)」ということはない
このような解釈になります。つまり、
「10,000円より多いということはない」 →「多くても( at most )10,000円」
こういうことですね。
比較 not less than の意味と考え方
これは先ほとの「 not more than 」の逆になります。これもただの否定です。
「less than (~より少ない)」ということはない
つまり
「10,000円より少ないということはない」 →「少なくとも( at least )10,000円」
と考えることが出来ますよね。
ここまでは普通の比較が分かっていれば特に問題ないかと思います。次からが本番です。
「 not が no に変わると、どう意味に違いが出てくるのか」をみていきましょう。
比較 no more than, no less than の意味の違い、考え方
比較 no more than, no less than の意味の違い、考え方を理解するには、
- 2つのことを比べている
- no は「差がゼロ(差がない)」を表す
- no が more, less を強く否定し「~なんてとんでもない」という気持ちを表す
まず、この3つのポイントを意識することが大切です。
2つのことを比べている
比較の文ですので、2つのことを比べています。今回の例文、
- I have no more than 10,000yen.
- I have no less than 10,000yen.
この2つの英文では
- 私の持っているお金の金額
- 10,000円
この2つを比較しています。「私の持っているお金の金額」と「10,000円」を比べてどうなのか。次はそこを考えてみましょう。
no は more, less を強く否定し「差がゼロ(差がない)」を表す
no は比較する2つの「差がゼロ(差がない)」ということを表します。これをまず初めに理解して下さい。
それを今回の例文で考えると、
「私の持っているお金の金額」と「10,000円」の差がゼロ(差がない)ということです。ということは、私の持っているお金はいくらでしょうか?
10,000円との差がゼロなわけですから、
ですよね。
「ん?じゃあこの2つの例文は同じ意味なの?」
と思った人もいるかもしれませんが、意味は違います。次の解説ではそこを理解しましょう。
no が more, less を強く否定し「~なんてとんでもない」という気持ちを表す
no が「差がゼロ」ということを表すのは理解してもらえたかと思います。では、more, less でどういった意味の違いがあるのでしょうか。
今回の2つの英文で言うと、
それを more, less の使い分けで表します。
I have no more than 10,000yen.
こちらの例文ですと、more の「~より多い」というのを no が「~なんてとんでもない」と強く否定して、逆の意味「少ない」という話し手の気持ちを表します。
つまり
という意味になります。10,000円を「少ない」と思っているんですね。こういう場合は「 no more than 」を使います。「~しか」を表す「 only 」と置き換えることができますね。
次に、less の方をみてみましょう。
この例文はさっきの逆ですね。すんなり理解できそうでしょうか?
こちらは、 less の「~より少ない」というのを no が「~なんてとんでもない」と強く否定して、逆の意味「多い」という話し手の気持ちを表しています。これは、「~も」を表す「 as much as ~ 」と置き換えることが出来ます。
比較 「 no more than, no less than, not more than, not less than 」の違いまとめ
I have not more than 10,000yen. 私は多くても10,000円しかもってない。( at most )
I have not less than 10,000yen. 私は少なくとも10,000円持っている。( at least )
I have no more than 10,000yen. 10,000円より多いなんてとんでもない、10,000円しか持ってないよ。( only )
I have no less than 10,000yen. 10,000円より少ないなんてとんでもない、10,000円も持っているよ。( as much as ~)
最後に
今回は、比較の 「 no more than, no less than, not more than, not less than 」の違い、考え方を解説してきましたが、どうでしたか。
前回の「【英文法の苦手を克服!】比較 クジラ構文 「 no more A than B 」を完全マスター!ネイティブも使わない英語?とんでもない!」というクジラ構文についての記事と基本的な考え方は同じです。
この2つの記事の内容を理解できれば、このタイプの英文の解釈で迷うことも少なくなると思います。
Kindle版の英文法書を使うと疑問点などを調べる時にかなり便利です。効率よく英語学習を進めることが出来ると思いますので、1冊は持っておいて損はないでしょう。
関連記事:英文法書のKindle版がおすすめ!メリットだらけ&便利すぎるので英語の勉強に活用しよう!
関連記事:英文法書や総合英語は通読するべき?辞書として使用するべき?おすすめはどれ?
英語をたくさん読んだり聞いたりして、実際に使われている英文に出会うことも大切です。
関連記事:日本人が洋書を読めない主な理由と、読めるようになるのに必要なこと
- 完了不定詞と時の組み合わせ(seem to have been などの話)
- 原形不定詞 使役動詞 make, let, have, get の違い
- 不定詞 be動詞 + to do
- 未来のことの仮定を表す仮定法 were to と should の違い
- almost, most の使い方と違い(almost all of やmost of など)
- 「仮定法現在」の説明と、なぜ should や原形を使うのか
- 接続詞・前置詞・関係代名詞 as の用法・意味のまとめ、解説
などについて説明する記事も書いていますので、興味がある方は読んでみて下さい。