今回は、「中学レベルの英文法を勉強するならこれ1択でしょ」というレベルでおすすめの
を紹介します。
この本はアルファベットから始まりますので、本当にゼロから英文法を学ぶことが出来ます。中学生はもちろん、高校生・大学生や社会人のやり直し英語など、中学英語を勉強したい人なら誰にでもおすすめできる名著です。いや、本当によく出来ていますよこれ。
関連記事:【英語初心者必読】まず最初に勉強するべき必須の勉強3つ【必修基本セット】
『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』の特徴・おすすめな点
本の構成・特徴
- 約300ページ、全114項目。
- 中学3年分の英文法を1冊で学習できる。
- 左ページに解説、右ページに基本練習(練習問題)のレイアウトで、「一般動詞」などの単元ごとに2ページの復習問題アリ。
- 付属CDに基本練習と復習テストの全英文の音声が収録されている。
- 全13回の「基礎ができたら、もっとくわしく。」で、少し踏み込んだ内容も学べる。
英文法の解説は簡潔かつわかりやすく、英文の作り方や使用場面が分かるようなイラスト入り。
この『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』は、「実際に英語を話せるようになるための土台を作る学習」というのがすごく意識されていて、「この英文法項目を学ぶとどういうことが言えるようになるのか、どういう場面で使えるのか」が各項目でしっかり学べるようになっています。
良い意味で紙面がスカスカなので、高校総合英語や一般の英文法書のように文字がビッシリという本が苦手な人でもサクサク読み進められるので安心です。
しかし、とても簡潔な説明ながらも、定番の「will と be going to」や「have to と must」の違いなど、英語学習者が迷いそうなところはちゃんとわかりやすく説明がされていますし、「現在完了形はあくまでも現在の話をするもの」など、しっかり強調して教えるべきところは強調されています。不規則動詞や接続詞などの暗記が必要な項目のまとめも充実しています。
ページ下の英文法・文法用語・英会話に役立つ知識などの補足解説欄が充実
左ページの下の部分には「くわしく」「学び直し」「英会話」「文法用語」という補足解説欄が設けられています。各ページこれらの4つから1つが選ばれていて、追加情報を学ぶことができます。
例えば「くわしく」では
「have to と must には厳密には意味のちがいがあります。have to は何か客観的な事情があって「しなければならない」という状態を表すときに、must は「しなければ」という話し手自身の気持ちを表すときによく使われます。実際の会話では、must よりも have to を使う機会のほうが多いです。」
山田暢彦『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』
このように、本編では扱うにはすこし細かい事項について補足で解説がされています。ここまで踏み込んで解説している中学英文法の参考書はあまりないので貴重です。
初学者や英語が苦手な学習者のために、英文法用語を説明の中ではあまり使わないように配慮されていますが、「文法用語」の部分でしっかりと説明がされています。(例「主節・従属節」や「仮主語・真主語」など)
文法用語が苦手だという人も、無理なく学習できるようになっていると思います。
「英会話」では、左ページの下に
「命令文は、Have some tea. (お茶をどうぞ。)やUse this umbrella.(このかさを使って。)のように、何かをすすめたり、申し出たりするときにも使われます。また、Go straight.(まっすぐ行ってください。)やTurn left.(左に曲がってください。)など道案内でも使います。道案内ではPleaseはつけません。」
「実際の会話では、Noで答えたあとは、情報を追加して言うようにするとやりとりがスムーズに続きます。例えば Are you from Tokyo? と聞かれて No のときは、 No, I’m not. と答えるだけでなく、I’m from Chiba. のように相手が知りたいと思う情報を付け加えるようにしましょう。」
山田暢彦『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』
こんな感じの、実際の英会話に役立つ知識が解説されています。
「基礎ができたら、もっとくわしく。」で、少し踏み込んだ内容も学べる。
全13回の「基礎ができたら、もっとくわしく。」では、「時や条件を表す副詞節では未来のことも現在形を使って表す」といった、中学英文法からちょっと踏み込んだ知識や、中学レベルの参考書では説明が疎かになりがちな「a と theの使い分け」などにも触れています。
英会話でのアウトプットを意識した反復練習問題
また、『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』の練習問題には、英単語を選択して終わりのようなものがほとんどなく、多くが穴埋め・書き換え・和文英訳で特に和文英訳が多いです。アウトプット重視です。
したがって、英会話の土台づくりとしての瞬間英作文の教材にも最適です。同じ著者の『英語のスピーキングが驚くほど上達する NOBU式トレーニング【MP3 CD付】』などにもスムーズに繋げられるはずです。
『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』で学習する英文法項目
ここからは『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』の
- 扱う英文法項目
- おすすめの勉強の仕方(使い方と注意点)
- 次に何を勉強すればいいか
を順番に紹介していきます。
まずは扱っている英文法項目からです。
本編
- 主語と動詞
- be 動詞
- 一般動詞
- 代名詞の基礎
- 修飾の基礎(形容詞など)
- 否定文の基礎
- 疑問文の基礎
- 疑問詞
- 複数形
- 命令文
- 代名詞(目的格)
- 現在進行形
- 過去形
- 過去進行形
- 未来の言い方
- 助動詞
- have to, must
- 不定詞(基礎)
- 動名詞
- 接続詞
- There is~.
- SVC, SVOO, SVOC
- 比較
- 受け身
- 現在完了形
- 不定詞(発展)
- 後置修飾
- 関係代名詞
- would like
- 間接疑問
- 仮定法
「基礎ができたら、もっとくわしく」
- 英語の品詞
- 数えられる名詞と数えられない名詞
- aとtheの使い分け
- いろいろな前置詞
- いろいろな助動詞
- いろいろな接続詞
- 「節」とは?
- 英語の5つの文型
- too … to ~, …enough to ~
- 基本動詞の使い分け
- いろいろな熟語・会話表現
- 付加疑問
- 感嘆文
「基礎ができたら、もっとくわしく」では、これらを学習します。
資料
- 数の言い方
- 曜日・月の言い方
- 動詞の語形変化一覧表
が資料として巻末に載っています。
『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』の使い方と注意点
まず左ページの説明を読んで、理解できたら右ページの練習問題をやりましょう。ごく普通の進め方で全く問題ありません。
左ページ下に小さく書かれている「くわしく」「文法用語」「学び直し」「英会話」などもしっかり読み込みましょう。理解が深まりますし、その後の英語学習に必ず役に立ちます。
練習問題は答え合わせをした時に、口頭でいいので日本語から英語にパッと直せるレベルまで何度も繰り返してください。できれば、練習した英文の単語を変えてみて、自分で色々と英文を作ってみましょう。
学習する時の注意点
- 口頭でいいので、瞬時に英文が答えられるまでやりこみましょう。
- CD音声は必ず使い、手本を真似して発音しましょう。
- 難しいと思う説明や単元はいったん飛ばしてもOKです。
- 英語の基本的な発音は学習しておくことをおすすめします。
関連記事:【発音記号・フォニックス】英語の発音が上達するおすすめ定番教材を紹介!【英語の音の変化・リスニング】
また、2021年度から実施の学習指導要領では、
- 現在完了進行形
- 原形不定詞
- 仮定法
の3つが高校英語の範囲から中学英語に下りてきています。
これらの単元は2022年3月に出版された『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。改訂版』でちゃんと収録されていますのでご安心下さい。このサイトでも英文法の解説記事を書いていますので、そちらも参考にしてください。
原形不定詞はこちらの記事で解説しています。
関連記事:「原形不定詞・知覚動詞・使役動詞」を完全マスター! make, let, have, get, の違いや受動態なども解説します!【英文法の苦手を克服!】
仮定法はこちらの記事で解説しています。「仮定法過去」「I wish」の部分だけ読めばOKです。
『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』の次は?
最後に、『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』で中学英文法を学んだ後は何をやるのがおすすめかを紹介します。
人それぞれ英語を使って何をしたいのか、何のために英語を勉強しているのかは違うと思いますので、自分の興味のあることを選んでやってみて下さい。
「英語で書かれた参考書で英語を勉強したい」という人はこちらの記事も参考にしてください。
関連記事:【英語で英語を学ぶ】英語で書かれた英語の参考書(英単語・英文法書など)を紹介します【洋書】
『大岩』『肘井』で高校レベルの英文法を学習
定番の英文法講義系参考書『大岩のいちばんはじめの英文法【超基礎文法編】 (名人の授業)』や肘井学 先生の『高校の英文法が1冊でしっかりわかる本』などで高校レベルの英文法を学ぶのがおすすめです。
関連記事:『大岩のいちばんはじめの英文法【超基礎文法編】』のレビューと使い方!読みやすいおすすめの講義系参考書です。
どちらの本もおすすめなのですが、この『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』が気に入った人は『高校の英文法が1冊でしっかりわかる本』もきっと気に入ると思います。
瞬間英作文で英会話トレーニング
早く英語が話せるようになりたい人は、同じ著者の『NOBU式トレーニング』で中学英語を自在に使えるようにトレーニングを積むのがおすすめです。
巻末付録に軽くですが、現在完了進行形と仮定法についての解説があります。
関連記事:英会話におすすめの瞬間英作文 効率よく勉強できる教材ルート!これで英語が話せるようになる!
英語多読(洋書の児童書・Graded Readers)
中学レベルの英語を学習すれば、英語で書かれた本でも読めるものが少しずつ出てきます。
上記のような英語学習者用に使用する英単語や英文法を制限して作られたGraded Readers(語彙制限本)や、簡単な英語で書かれている洋書の児童書がありますので、興味があればどれか1冊選んで読んでみましょう。
英語を多読することで大量の英文を読むことへの抵抗をなくし、英語をスラスラ読む感覚を育てていきます。これまでに覚えた英語の語彙や文法の定着させたりする効果もあります。
関連記事:【英語多読】中学レベルで読めるGraded Readers(語彙制限本)と洋書の児童書のおすすめを紹介します
最後に
『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』は全体的にメリハリがすごく上手くつけられていて、解説は読みやすいのにただ簡単なだけでなく、踏み込むべきところはしっかり踏み込んで説明もされています。かゆいところに手が届くというか、すごくクオリティの高い参考書になっていると感じます。
現状では、中学レベルの英文法を学ぶならこの『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』1択と言っていいレベルです。頭いくつか分抜けています。
タイトルに「もう一度」とついているように、高校生・大学生・社会人が中学英語をやり直すのにも最適な英文法参考書になっています。ただ中学英語を簡潔にわかりやすく書いているだけでなく、その後の英語学習で触れるであろう内容にも触れているので、TOEICなどのために英語をやりなおそうとしているけど「今さら中学生用の本をやるのはなぁ…」と思っている人にこそ手に取ってみてほしいですね。