今日は、英文法・語法の4択問題集の選び方についてです。取り上げるのは、ネクステ(Next Stage)、ヴィンテージ(Vintage)、スクランブル、UPGRADE(アップグレード)の4冊です。どれも学校で配られることが多い、定番の問題集ですね。
「ネクステとヴィンテージ、どっちがいいの?」「学校で配られた本のままでいい?」と迷っている人も多いのではないでしょうか。
先に結論を書くと、4冊の中身にそこまで大きな差はなく、どれか1冊をマスターすれば十分すぎるくらいです。私は4冊とも持っていますが、大事なのはどれを選ぶかではなく、選んだ1冊をやり切るかどうかだと思います。
この記事では、4冊の違いを出版社の公式情報で比べたうえで、選び方と、1冊を仕上げるための使い方を紹介します。どれを選んでも、使い方さえ押さえれば英文法・語法はしっかり身に付けられるはずです。
ネクステとヴィンテージの違いは?4冊の比較表
ネクステのような、大学入試に出る英文法・語法の問題を1冊に網羅した4択の問題集は、「ネクステ系」と呼ばれることがあります。まずは4冊の最新版と、出版社が挙げている主な特徴を表にまとめます。
| 書名(出版社) | 最新版 | 出版社が挙げる主な特徴 |
|---|---|---|
| Next Stage(桐原書店) | 4th Edition 新装版(2025年9月) | 全218の Point で整理。左ページに問題、右ページに解説の見開き |
| Vintage(いいずな書店) | 4th Edition(2023年10月) | 「着眼点」や誤った選択肢の解説など、解き方が分かる解説 |
| スクランブル(旺文社) | 5th Edition(2025年10月) | 約1,700問。入試の「でる順ランキング」付き |
| UPGRADE(数研出版) | 四訂版(2024年2月) | 大学入試問題のデータ分析で頻出問題を選び、章ごとに頻出項目のランキング |
どれも、文法・語法に加えて、イディオム(熟語)や会話表現まで扱う作りです。並べて比べても、正直なところどれもそこまで差はありません。手に取ってみて、自分が好きだと思えるものを選べば大丈夫です。
そのうえで、細かい違いを3つ見ていきます。
違い1:解説の詳しさ
よく言われるのが「Vintage の方が解説が詳しい」という違いです。これは私もそうだと思います。
いいずな書店も、Vintage の特長に解説の詳しさを挙げています。問題を解くときの「着眼点」、正解までの「問題の解法」、なぜその選択肢が誤りなのかまで説明があります。1問ごとに「なぜその答えになるのか」を確かめながら進めたい人には、合っているかもしれません。
一方で、ネクステは見開きの右ページに解説をまとめ、【整理】などの項目で覚えることを整理しています。解説の量より、要点をすばやく確かめたい人には使いやすい作りです。
違い2:問題の範囲と、読解・作文とのつながり
扱う範囲はほぼ同じですが、最近の版では、文法の知識を読解や英作文に生かす工夫が加わっています。
- Vintage 4th Edition:最終章に、英文の構造をつかんで意味が通るかを確かめる演習がある
- スクランブル 5th Edition:「読解・作文」のための文法問題を取り上げた特別編がある
- Next Stage:読解や英作文で特に必要な問題に、アイコンで印が付いている
違い3:音声・アプリなどの付属
4冊とも、問題の英文の音声を聞くことができます。会話表現などは、音声で耳からも確かめると覚えやすいはずです。
| 書名 | 音声・アプリなど |
|---|---|
| Next Stage | 音声ダウンロード、音声再生アプリ「マイオトモ」 |
| Vintage | 音声再生アプリ「いいずなボイス」、音声ダウンロード |
| スクランブル | 全問題文の音声(アプリ「英語の友」など)。学習アプリ「Monoxer」でも演習用の教材が出ている |
| UPGRADE | スマホなどで英文音声・ドリル問題・学習法の動画 |
4冊それぞれの特徴と向いている人
私は大学受験のころは河合塾の文法語法1000を使っていたのですが、英語を教えるようになってからこれらの4冊を含めネクステ系と言われるものはすべてを購入しています。ここでは、1冊ずつ特徴と向いている人を紹介します。
Next Stage(ネクステ)
「ネクステ系」という呼び方のもとになった問題集です。1999年の初版から版を重ねてきました。文法・語法・イディオム・会話表現・単語・発音を、全218の Point に分けて整理しています。
左に問題、右に解説の見開きなので、テンポよく進めたい人に向いています。反対に、1問ずつじっくり詳しい解説を読みたい人は、次の Vintage の方が合うかもしれません。
Vintage(ヴィンテージ)
解説が詳しいのが特徴で、これから新しく1冊買うなら、私は Vintage をおすすめします。出版社の示すレベルは、共通テストから難関私大・国公立二次までですが、ネクステ系の4択問題集ならどれも同じです。
独学で、解説を読んで納得しながら進めたい人に向いています。ただし608ページと分厚いので、基礎がまだ不安な人には重く感じるかもしれません。
スクランブル英文法・語法
5th Edition は約1,700問と問題数が多く、入試の「でる順ランキング」も載っています。2025年10月の改訂で、全体の約3分の1が新しい問題になりました。
見開き2ページで完結するレイアウトで、問題には「超頻出/頻出」「基本/発展」のマークが付いているのも特徴です。問題をたくさん解いて慣れたい人や、アプリでも学習したい人に向いています。問題数が多い分、短期間で仕上げたい人には負担が大きいかもしれません。
UPGRADE(アップグレード)
チャート式で知られる数研出版の問題集で、過去の大学入試問題のデータ分析をもとに、頻出の問題を選んでいるのが特徴です。学校で採用されているイメージが強い1冊ですね。ネクステに比べると知名度は低いですが、隠れた名著だと思います。
学校で配られた人は、そのまま UPGRADE を使えば十分です。どの項目がよく出るのかを、ランキングで意識しながら進めたい人にも向いています。
どれを選べばいい?1冊をマスターすれば十分
どれを選ぶのかは、それほど難しく考えなくて大丈夫です。私がすすめるのは、次の選び方です。
- 学校で配られているなら、その1冊で良い
- 新しく1冊買うなら、Vintage
- 基礎が不安なら、先に『英文法・語法問題ベスト400』
- もっとハイレベルなものが欲しいなら、Z会の『英文法・語法のトレーニング演習編』

「ネクステと Vintage は中身はほぼ同じなので、好みで選べばよい」という声もありますが、私もそう思います。何度も書きますが、どちらでもいいので、とにかく選んだ1冊をやり切ることが大事です。
途中で乗り換えてもいい?2冊目はやるべき?
「途中で別の問題集に乗り換えない方がいい」「2冊目はやらない方がいい」とも、よく言われます。
使ってみて自分に合わないと感じたなら、乗り換えても構いません。ただ、今の1冊に不満がないのに、「あの参考書が良いらしい」と人の話を聞いて乗り換えるのは、あまり良くないと思います。
2冊目は、時間に余裕がある人や、英文法・語法にもっと強くなりたい人が、さらに上級の問題集に進む場合におすすめです。同じレベルの問題集をもう1冊やるより、1冊目を完全に仕上げる方が先ですね。
網羅性を求めるなら、最終的にネクステ系はやった方がいい
このあと紹介するベスト400のように、問題が厳選された問題集から始めるのも良い方法です。ただ、英文法・語法を広く網羅したいなら、最終的にはネクステ系の4択問題集はやった方が良いと思います。
英文法・語法の参考書全体の選び方は、【大学受験英語】英文法・語法のおすすめ参考書!選び方や使い方【決定版】で紹介しています。
難しい・細かすぎると感じたら『英文法・語法問題ベスト400』
ネクステ系の問題集は、大学受験としては細かい内容まで載っています。難しい、細かすぎると感じる場合は、問題がもう少し厳選されている問題集を使うのがおすすめです。たとえば『これが入試に出る! 英文法・語法問題ベスト400』です。
ベスト400から始めた方がいいかの目安は、次のとおりです。
- 各単元の最初の数問を見て、全然分からない
- 教科書などの例文を見ても、意味が分からない
- 4択問題集は最低限だけに抑えたい
当てはまっても、焦る必要はありません。基礎を固めてからネクステ系に進めば、重なる問題も多いので、スムーズに進められるはずです。
ベスト400の特徴と使い方は、大学受験英語 英文法・語法問題ベスト400 基礎固め~標準レベルのおすすめ問題集の特徴と使い方!ある意味ネクステよりも…で詳しく紹介しています。
ネクステ系の問題集の効果的な使い方
どの1冊を選んでも、使い方は同じです。ここでは、1冊をマスターするための使い方を紹介します。

何周すればいい?3周では足りない
「最低3周はする」という声もよく見ますが、はっきり言って、3周しただけでは穴だらけだと思います。何周すればいいかより、覚えていない問題をなくすことを目標にしてください。
おすすめは、まず何周か解いてから、間違えた問題にしるしを付けて、そこだけを何回も何回もやる方法です。完全に覚えるまで何度もくり返します。
何回も間違える問題にチェックを入れて潰す
ある程度学習が進んだら、何回も間違える問題にチェックを入れて、1つずつ潰していきます。印は、ペンでチェックしても、付箋を付けてもかまいません。私は付箋を付けていました。
チェックの数が少なくなってくると、分厚い本を持ち歩く意味がなくなってきます。そうなったら、覚えたい内容だけをパソコンやスマホにメモして、それを読み込むのもおすすめです。私もこうした工夫をしていました。
口頭で日本語から英語に直す
できれば、口頭でいいので、日本語から英語に直せるようにしておくと、学習効果がかなりアップすると思います。
やり方は簡単です。問題集の英文には日本語訳が付いているはずなので、その日本語訳を見て英文を言います。4択で正解を選ぶだけでなく、自分で英文を作る練習になるので、英作文や会話にもつながります。
「マスターした」と言える目安
マスターした目安は、問題に即答でき、なぜその答えになるのかを説明できることです。理想は、さきほどの「口頭で日本語から英語に直す」ができる状態です。
最初は時間がかかりますが、くり返すうちに即答できる問題が増えていきます。少しずつで大丈夫なので、1冊を最後までやり切ってみてください。
よくある質問
学校で配られたのが古い版でも大丈夫?
学校で配られたものなら、基本的にはその版で大丈夫です。英文法・語法の基本は、版が変わっても大きくは変わりません。新装版と書いてある場合は全く気にしなくても良いです。
たとえば、Next Stage の「4th Edition 新装版」は、4th Edition の装丁を変えて、CD の音声をオンラインで聞けるようにしたものです。内容は変わっていないと、桐原書店が説明しています。
解説を読んでも分からないときは?
問題集は、文法の項目をゼロから説明する本ではありません。解説で分からないときは、必ず総合英語(英文法を体系的に説明した参考書)や辞書で調べるくせを付けておくと安心です。もちろん先生などに質問しても良いですよ。
総合英語の選び方は、【英文法】総合英語はどれがおすすめなのか?『総合英語Evergreen』『ジーニアス総合英語』『アトラス総合英語』でまとめています。
英文法・語法1000(英頻)とはどう違う?
『全解説 頻出英文法・語法問題1000』も、ネクステ系と並んで定番の英文法・語法問題集です。私が大学受験のころに一番使い込んだのは、この英文法・語法1000でした。
簡単に言うと、この文法語法1000の方がネクステより少しレベルが高く、解説も詳しいです。私が大学受験をしていた頃は、ネクステを「あれは解説がダメ」と否定して文法語法1000を使っている人が結構いましたね。
特徴と使い方は、大学受験英語 おすすめの英文法、語法問題集 「全解説 頻出英文法・語法問題1000(文法語法1000)」の特徴、使い方!で紹介しています。
まとめ
- ネクステ・Vintage・スクランブル・UPGRADE の4冊に、大きな差はない。どれか1冊をマスターすれば十分すぎるくらい
- あえておすすめを挙げるなら、Vintage は解説が詳しくておすすめ
- 学校で配られたらその1冊、新しく買うなら Vintage。基礎が不安ならベスト400から
- 3周では足りない。間違えた問題に印を付け、そこだけを完全に覚えるまでくり返す
- 答えを即答でき、説明できればマスター。理想は日本語訳を見て英文を口で言えること
大事なのは、どれを選ぶかではなく、選んだ1冊をやり切ることです。迷っている時間を、1問でも多く解く時間に使ってみてください。
参考資料
