今回は、綿貫陽先生とマーク・ピーターセン先生共著の英文法書
『表現のための実践ロイヤル英文法』通称『黄ロイヤル』を紹介します。英語を学習するなら一家に1冊置いておきたいおすすめの名著です。
『表現のための実践ロイヤル英文法』の特徴・おすすめな点【黄ロイヤル】
- 本編は約600ページ
- 全24章、281項目(章ごとに確認問題あり)
- 現代の生きた用例文中心のわかりやすい解説
- ネイティブの感覚などについての解説が豊富
- コミュニケーション、アウトプットに役立つ英文法書
- 英文法学習にいったん区切りを付けられる網羅性
- Eメールの書き方や、句読法についての解説
- Kindle版あり
- 暗記用例文集
- 無料の英語音声ダウンロード付き
この『表現のための実践ロイヤル英文法』の内容を身につければ、間違いなく英文法の学習は一区切りつけることができます。それくらいのクオリティと網羅性のある文法書です。(大学で英語を専門に勉強する人などは除く)
「表現のための」とタイトルにあるように、自分が自然な英語を書いたり話したりするために役立つようなことがたくさん書かれています。例えば、普通の英文法についての解説の他にも、
発展 くだけた会話で、Two coffees, please.(コーヒーを2つください)などと言うことがある。文法的に正しくは Two cups of coffee, please. だが、レストランなどでの会話では、こういう言い方も不自然ではない。
『実践ロイヤル英文法』157B 不可算名詞
このような、その英語が「自然かどうか」や、「普通はこう言う」などの補足解説もたくさん載っています。
また、句読法についてひと通り載っているのもありがたいですね。「.(ピリオド)」から始まり「―(ダッシュ)」や「[](ブラケット)」などの使い方まで解説されています。
紙面のレイアウトも見やすいです。英文法書って「基本は黒、たまに赤文字で強調」のスタイルで書かれているものも多いですが、『実践ロイヤル英文法』では例文が青色になっているのでパッと見てどれが英語の例文かが判別しやすいです。自然と例文に目が行きます。地味な点ですが、意外と読みやすさに直結しています。
『表現のための実践ロイヤル英文法』は通読するべきか?
英文法書の話になると、通読するべきか辞書的に使用すべきかがよく話題になります。
これについての私の意見は「読めるなら読むのがおすすめ、無理なら調べ物の時だけでもOK」です。
大西泰斗先生の『一億人の英文法 ――すべての日本人に贈る「話すため」の英文法(東進ブックス)』ほどではありませんが、この『表現のための実践ロイヤル英文法』も比較的読みやすい英文法書だと思います。
やる気のある人は一度通読に挑戦してみるのもいいでしょう。通読と言っても、なにも1ページ目から順番に読む必要はなく、単元ごとに読んだりするのもおすすめです。
通読の是非の議論はいったん置いておいて、何か本格的な英文法書を通読してみようと思っている人はこの『実践ロイヤル英文法』を選んでおけばまず間違いありません。
600ページなので、1日10ページずつ読み進めたら2ヶ月以内で読み終わります。実際は確認問題のページが各章2ページ×24章=48ページありますので実質読むのは550ページほどです。
ちなみに、通読する場合は『徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版』(通称『青ロイヤル』)よりはこちらの『黄ロイヤル』をおすすめします。
「文法書通読」についての私の考えは、別のの記事でもう少し詳しく紹介していますのでそちらも参考にしてください。
『表現のための実践ロイヤル英文法』の使い方と注意点
- 辞書的に使う
- 単元ごとに読む
- 通読する
英文法書の使い方としては、基本的にはこの3つのどれかになると思います。
英文法書のおすすめの使い方
おそらく『表現のための実践ロイヤル英文法』は辞書的に使うという人が多いと思いますが、その場合も調べた項目を丸々読んでしまうことをおすすめします。例えば、自分の調べたい項目が「174C」だった場合、他の「174」の項目を全て読むという感じです。調べたいことの周辺の知識も一緒に読むことで理解が進んだり、頭の中が整理されていきます。
また、「→ p.199 100B」のように参照ページと項目番号が示されている場合は、出来るだけその部分も読むようにしましょう。
もし例文や解説を読んでよく分からないところなどがあれば付箋を貼ってあとで復習できるようにした上で、英和辞典・他の英文法書・総合英語などで調べましょう。
確認問題、実践問題をやるかどうかは完全に好みです。せっかく問題がついてるんだからやろうという人もいるでしょうし、本の記述が理解出来ていればそれでOKという人もいるでしょう。
『黄ロイヤル』別冊の暗記用例文集
別冊の暗記用例文集は、かなり質の高い例文が集められていて覚える価値が高いのでぜひやりましょう。例文の丸暗記ではなく、口頭でいいので日本語から英語に瞬時に直せるようにしてください。ひとこと解説も読みましょう。
『表現のための実践ロイヤル英文法』のKindle版が便利でおすすめ
『表現のための実践ロイヤル英文法』は紙版だけでなくKindle版(電子書籍)も発売されていて、私は紙版と電子書籍版の両方を持っています。
『表現のための実践ロイヤル英文法』では、「(→203B)」のような、他の英文法項目の参照番号がいたるところに散りばめられています。紙版の場合、ペラペラと本をめくってその項目のページを探すのですが、Kindle版ならリンクをタップするだけでそのページに飛ぶことができるのですごく便利です。
他にもKindleの付箋機能やマーカー機能なども利用できますし、電子データなのでかさばりません。スマホやタブレットでいつでもどこでも読むことが出来ます。
ロイヤル英文法は難しすぎるという人は?
『表現のための実践ロイヤル英文法』は少し自分には難しすぎる。という英語初心者の人は、まずは高校総合英語から慣れていくことがおすすめ。おすすめの総合英語を紹介した記事も書いていますので、ぜひそちらを参考にしてください。
『表現のための実践ロイヤル英文法』の次にやることは?
逆に「さらにハイレベルなことも学習してみたい。」という人のために、『表現のための実践ロイヤル英文法』からのステップアップにおすすめの英文法書を紹介しておきます。
『現代英文法講義』安藤貞雄
安藤貞雄先生の『現代英文法講義』です。まさに日本の英文法書の最高峰です。英文法書をはじめ、さまざまな英語の参考書類で参考文献と挙げられています。2024年8月現在、この本よりも詳しく日本語で書かれた英文法書はありません。興味がある方は持っておくと良いでしょう。
Practical English Usage (PEU)
洋書の英文法・語法の超定番の参考書です。『表現のための実践ロイヤル英文法』を使って英文法を勉強したレベルの人なら十分に使いこなせるはずです。こちらは全ての英語学習者におすすめです。
最後に
『表現のための実践ロイヤル英文法(黄ロイヤル)』は現代の英文法書のスタンダードといっていいでしょう。英語をやる人なら1冊持っておいて損はありません。総合英語からのステップアップにも最適な英文法書となっています。普通の英語学習者にとっては十分すぎる英文法の知識が得られますので、この英文法書で文法学習はいったん区切りをつけてしまっていいと思います。