「急に苦手な人が増える英文法の難しい単元・項目」をピックアップして解説していくシリーズ、今回は
時と条件を表す副詞節中では未来のことでも動詞の現在形を使う
これについて書いていこうと思います。高校レベルの時制、未来を表す英語表現を勉強する時に必ず触れる項目ですが、
「よく分からず、何となくルールを覚えただけ」
「 if, when の中は現在形って覚えておけばいいんでしょ?」
こんな感じになってる人も多いのではないでしょうか。一度よく理解してしまえばなんてことはないので、これを機にしっかりと確認していきましょう。
時と条件を表す副詞節とは
If it rains tomorrow, I will stay at home. 明日雨が降ったら、家にいます。
Please give me a call when you arrive at the hotel. ホテルに着いたら、私に電話して下さい。
時、条件を表す副詞節とは、「時や条件を述べる節で、文を修飾する節」をいいます。文字通りですが、さらにもう少し詳しくみていきましょう。
上の2つの例文で考えてみると、
- 「明日雨が降ったら」というのは、「家にいる条件」
- 「ホテルに着いたら」というのは、「電話をかける時」
をそれぞれ述べているのがわかりますか。
ここで注目するのは「明日雨が降ったら」「ホテルに着いたら」というのは両方とも未来のことについての話なのに、if節とwhen節の中で使われている動詞が現在形だということです。
これが英語の時制の単元で勉強する有名な「時と条件を表す副詞節中では、未来のことでも動詞の現在形を使う」というやつです。決まり・ルールとしてそのまま暗記している人も多いと思います。
なぜ時と条件を表す副詞節中では未来のことでも動詞の現在形を使うのか
それでは、なぜ時と条件を表す副詞節中では未来のことでも動詞の現在形を使うのか?
「実現を前提として・実現しているとみなして」いるので、時と条件を表す副詞節の中の動詞は、未来のことでも「現在起こっていることを表す、現在形」を使って表します。
If it rains tomorrow, I will stay at home.
明日雨が降ったら、家にいます。
これは、明日雨が降ることが実現しているとみなしているので、if 節の中の動詞は現在形を使います。
頭の中では if 節の内容の実現を前提・実現しているとみなしているわけですから、「 will (~だろう)」や「 be going to (~するつもりだ)」と一緒に使うのはちょっと不自然な形となってしまいます。
昔の英語では、まだ実現していないことについて表す時には動詞に時制を与えるという発想がなかったようで、仮定法現在(動詞の原形)を使っていました。 この「時と条件を表す副詞節中」でも、元々は仮定法現在(動詞の原形)を使っていたようですが、現在では動詞の現在形を使うように変化したようです。
そして、この項目は他にも
「主節を見れば未来に関することだと分かるから、従位節中の動詞は、それとの関連で、形は現在形でも、主節とおなじ未来のことだと分かる」
実践ロイヤル英文法
このような説明がされることもあります。どちらでもしっくりくる方の説明を採用していただければいいのですが、個人的には「実現しているとみなしているので、時と条件を表す副詞節の中の動詞は現在形」という説明の方で理解しておけばいいかなと思います。
時と条件を表す接続詞
時や条件を表す主な接続詞は覚えておきましょう。if と when だけではないので注意して下さい。
時を表す主な接続詞
- when ~ (~する時)
- as soon as ~(~するとすぐに)
- after ~(~した後で)
- before ~(~する前に)
- by the time ~(~するまでに)
- until ~(~するまでずっと)
条件を表す主な接続詞
- if ~(もし~)
- unless ~(~しない限り)
- in case ~(~するといけないので)
時と条件を表す名詞節などとの区別をつける
「時と条件を表す~」というと、単に「 if 節, when 節の中では動詞が現在形になる」と覚えてしまっている人もいますが、これには少し修正が必要です。
英文の中で接続詞「 if, when 」が使われていても、時や条件を表す副詞節ではない場合などは、現在形を使うというルールは適用されません。つまり、未来のことを言う場合は未来時制を使います。
時や条件を表す名詞節の場合
Do you know when he will come?
彼がいつ来るのか知っていますか。
I don’t know if he will come.
彼が来るかどうか知りません。
例えば、中学で習う間接疑問や、「~かどうか、の意味の if 」は副詞節ではなく名詞節なので、ルール適用外です。
上の2つの英文の when 節, if 節 は両方とも名詞節で、それぞれ know の目的語となっていますので、未来のことを言うのには未来時制が使われます。どちらもwillが使われていますね。
時や条件を表す形容詞節の場合
The day won’t come when we will all have robots.
みんながロボットを持つ日は来ないだろう。
この英文では「 The day 」を「 when 節 (関係副詞)」が修飾しているので形容詞節ということになります。この例文のように形容詞節の中では、未来のことを表すには未来時制が使われます。
if 節中に意志未来の will が使われる場合
次は、「意志未来の will が使われる場合」をみてみましょう。
If you will eat so much, you can’t complain if you get fat.
どうしてもそんなに食べるのなら、太っても文句は言えない。
上の英文の最初の if 節「 If you will eat so much 」では、you の意志を表すので助動詞 will が使われています。
一方、例文後半の if 節「 if you get fat 」は時と条件を表す副詞節のルールが適用される普通のパターンですので、助動詞 will は使われておらず、動詞の現在形が使われていることを確認して下さい。
条件を表す副詞節中で will が使われる場合
If you will help us, we’ll be able to achieve our goal.
もしあなたが手伝ってくれるなら、私たちは目的を達成できるだろう。
If it will make you happier, I’ll stop smoking.
もし君が喜ぶなら、禁煙しよう。
条件を表す副詞節の場合でも、この例文のように
- 依頼を表す場合
- 条件節の内容が主節の内容の結果になる場合
などに will が使われることがあります。これが少しややこしいです。1つ目の英文の副詞節が依頼を表しているというのは大丈夫だと思いますが、2つ目の英文は「私が禁煙した結果、君が喜ぶ」という内容になっていることをよく確認してください。
最後に
「 if, when 節 の時は現在形!」というような覚え方をしていた人もいたかと思いますが、どうでしたか。
なぜ現在形を使うのかを知っておくと、ただ丸暗記しておくよりかはスッキリと理解出来ると思います。ルールが適用されないパターンもしっかりと整理しておくといいですね。
また、高校総合英語や、「一億人の英文法 ――すべての日本人に贈る「話すため」の英文法(東進ブックス)」などの英文法書の時制のところの記述を色々と読んでみるのも良いでしょう。文法書というと読むのを躊躇してしまう人も多いですが意外と分かりやすく書いてあったりしますし、自分の知識を整理するのにも役立つと思います。
さらに、Kindle版の英文法書を使うと疑問点などを調べる時にかなり便利です。効率よく英語学習を進めることが出来ると思いますので、1冊は持っておいて損はないでしょう。
もちろん、英語をたくさん読んだり聞いたりして、自分が勉強したことが実際に英文で使われているのを体感することも大切です。
苦手な人が急に増える英文法項目を説明する「英語の苦手を克服」シリーズでは他にも
- 完了不定詞と時の組み合わせ(seem to have been などの話)
- 原形不定詞 使役動詞 make, let, have, get の違い
- 不定詞 be動詞 + to do
- 未来のことの仮定を表す仮定法 were to と should の違い
- almost, most の使い方と違い(almost all of やmost of など)
- 「仮定法現在」の説明と、なぜ should や原形を使うのか
- 接続詞・前置詞・関係代名詞 as の用法・意味のまとめ、解説
- 比較 「 no more than, no less than, not more than, not less than 」の意味の違い、考え方のまとめ
- クジラ構文「 no more A than B 」の意味と考え方
など、たくさんの英文法の解説記事も書いていますので、ぜひ参考にしてみてください。一度しっかりと勉強しなおすことで、今まで苦手だったものが急に得意になるというのはよくありますので頑張りましょう。