今回は『毎日の英文法』で有名な、早稲田大学教授ジェームズ・M・バーダマン先生の
を紹介します。英語を勉強してるみなさんの中には「英単語をたくさん覚えるのはしんどい、何とか英会話に必要な話すための単語に絞って覚えられないかな」と思っている人も多いのではないでしょうか。そんな人は必見です。
バーダマン先生の『毎日の英文法』についてもレビュー記事を書いていますので、よろしければそちらもチェックしてみてください。
『毎日の英単語 日常頻出語の90%をマスターする』の特徴・おすすめな点
全221ページ、34テーマ(全751クラスター)
この『毎日の英単語』では例文の形ではなく、多くはクラスターという『システム英単語 (通称シス単)』でいうところのミニマルフレーズような形で出てきます。(例:put on plenty of salt(たくさんの塩をふる)など)
- テーマの最初に軽く導入(左ページ上部に短い解説と数個の単語・フレーズの紹介)
- 左ページにその英単語を使用したクラスターとその日本語訳
- 右ページに使い方などの解説、類義語・反意語の紹介
『毎日の英単語』は基本的にこのようなレイアウトで、ところどころに句動詞を紹介する「大切な基本動詞」の項目が入る感じです。『毎日の英文法』と同じく、レイアウトはかなり見やすく作られていますので学習しやすいと思います。
また、右ページの解説欄には語法、類義語・反意語などの情報がしっかり入っているので見出し語だけでなく解説までよく読み込むことをおすすめします。
もちろん例文(クラスター)のネイティブ音声も用意されています。CDではなく、ダウンロードして利用する形式です。
英会話で90%のカバー率の本当に必要な約2000語が厳選されている
本書の2000語は、ネイティブの日常会話に使われる単語の頻度を優先して厳選しました。日常会話の90%に加え、普通に目にする書き言葉の84%もカバー。フィクション小説の85%、雑誌などの一般的な記事の81%、新聞の80%、学術的な記述の76%の単語を理解できることになります。
『毎日の英単語』p.9
本書収録の単語リストは、英単語を欧米で実際に使われている頻度順で示した West’s General Service List や Bank of English などのコーパスを分析し、その1~2000位までの語を収録しました。
ただし、1~1000位の語はほとんどが超基本単語です。ですから、そのうち、日本の学生にも定着している語はカットしました。そして、ネイティブには高頻度にもかかわらず日本人が知らない単語を積極的に取り入れました。
さらに、Academic Word List (AWL) からは高校・大学・新聞などで特によく使う570語、University Word List (UWL)からは808語のリスト(concept, illustrate, assess などの言葉で、学術的なテキストの8.5%をカバー)のうち、上記の2000位までに入っていなかった単語を加えました。
『毎日の英単語』p.12
このように、『毎日の英単語』では収録語が厳選されていて、全英語学習者が覚えておくべき本当に最低限の英単語に集中して学習できます。特に英会話は90%カバーできるのが魅力ですね。
一方、書き言葉のカバー率が80%前後となっていますが、これは快適に読書をするにはかなり厳しい数字ですので、「洋書のペーパーバックをスラスラ読めるようになりたい!」という人はさらに英単語数の上乗せが必要です。
また、『毎日の英単語』をマスターすれば英英辞典を活用できるレベルの語彙力も身についています。英語学習に英英辞典を活用したいという人にもおすすめです。
学校の英語では手薄になりがちな語彙・表現やコロケーションも一緒に覚えることができる
ここまでの説明を読んで、最初は「2000語?ほとんど中学レベルの単語では?」と思った人もいるかも知れません。
しかし、さきほど紹介したように、ネイティブの頻出語に絞ってコーパス上位2000語を選び、そのうち日本の学生でも常識レベルの単語は省き、2000語から漏れたアカデミックな頻出単語を追加していたりするので、2000語と言っても日本の中学で習う英単語とはズレがあります。
『毎日の英単語』では、学校で学習する英語では漏れがちな語彙や表現を覚えることができます。
この『毎日の英単語』では各単語が例文の形ではなく、クラスターというフレーズごとに紹介されますので、単語だけでなくその使い方とコロケーションも一気に覚えていくことができます。
語法やコロケーションを無視して英単語の意味だけ覚えた状態だと、読んだり聞いたりする時は理解できても、自分でその単語を使うとなると「どの単語と組み合わせて使うんだ?」と迷ったりしますので、なるべく使い方と一緒に覚えてしまうのがおすすめです。
さらに、テーマ33「定型表現」では日常会話でそのまま使われる頻出フレーズが紹介されています。少し紹介しますと
- Could you say that again?
- Guess what!
- What a shame.
- if you don’t mind
このようなフレーズが載っています。定型表現は知ってるかどうかがほぼ全てなので、そのまま覚えてしまうのが良いと思います。
基本動詞27個を使った句動詞が学べる
『毎日の英単語』では「大切な基本動詞」という欄が27個設けられていて、それぞれの基本動詞に付き数個、多い動詞では10個以上の句動詞が紹介されています。
私が手作業で1つずつ数えたところ、全部で164個の句動詞が紹介されていました。(同じ句動詞で複数の意味が紹介されているものが3つほどあるので、それを抜くと161個)
基本動詞についての簡単なイメージ解説図があるだけで各句動詞の解説はなく、日本語訳のみですが、たくさんの句動詞を覚えることができます。
例えば、基本動詞 take の項目では
- take after
- take back
- take in
- take on
- take off
- take to
- take up
- take over
を使ったクラスター(フレーズ)が紹介されています。みなさんはどれくらい分かりますか?
句動詞(Phrasal Verb)は英会話に頻出なので、基本的なものはしっかりと覚えておきたいところですね。英語で映画・ドラマ・アニメ・漫画を楽しみたい人にも必須の知識です。
『毎日の英単語 日常頻出語の90%をマスターする』注意が必要な点
発音記号がない
『毎日の英単語』には発音記号が載っていないので英語音声を利用するか、発音が不安な英単語は辞書などで発音記号を確認するなど各自工夫が必要です。英語を学習するには基本的な発音の知識・技術があった方が絶対に有利です。
コロケーションも含めて自分で使えるようにする
単語を見て意味が分かる程度では終わらせずに、自分で使える単語にするためにクラスター(フレーズ)ごと覚えてしまってください。本に載っている単語を少し変えて自分用のクラスターにアレンジしてみるのも良いですね。
特に、それまでの自分の頭の中にはなかった単語は意識的に覚えるようにしましょう。
最後に
著者のバーダマン先生はご自身が外国語として日本語を習得した経験があります。まえがきの「本書の効用」などを読むと外国語学習に大切なポイントを熟知されているのがよくわかります。
『毎日の英単語』は単語数が多すぎず少なすぎずという2000語に厳選されているので、「これ本当に覚える意味あるのかな」などと余計なことを考えずに学習を進めることが出来るも良いところ。大学生・社会人などのやり直し英語の人にもおすすめの単語集です。このレベルの単語はしっかりと自分で使えるようになるまで練習しておきたいですね。