今日は that についてです。「急に苦手な人が増える英文法の難しい単元・項目をピックアップして解説するシリーズ」の1つです。
that って接続詞だったり代名詞だったり関係詞だったり、用法がたくさんありますよね。また、
He said that that that that that boy used in the sentence was wrong.
みたいな、that が5つ使われた英文をどこかで見たことがある人も多いのではないでしょうか。この英文は that の用法をいくつか詰め込んだものになっています。
「この that はどの用法?」と聞かれて、すぐに答えられない人もいるかもしれません。特に、接続詞の that と関係代名詞の that の区別でつまずく人が多いようです。
この記事では、that の主な7つの用法を、一覧と例文で1つずつ整理します。そのあと、見分け方をフローチャートで確かめ、最初の5つの that の英文も読み解きます。最後に確認問題も用意しました。用法が多くて大変そうに見えますが、1つずつ整理すればすっきり分かるようになるはずです。
as などもそうですが、「いろんな文法項目で出てくる、用法が多いもの」があります。こういうものは、意識して整理しておくことをおすすめします。
that の用法一覧|主な7つの意味と使い方
that は、物理的・心理的に距離が遠いものに使われます。複数形は those です。
this が「近くのこれ」なら、that は「少し離れたあれ・それ」です。この「離れたものを指す」感覚は、指示代名詞だけでなく、ほかの用法を考えるときのヒントにもなります。
| 用法 | 例文 |
|---|---|
| 指示代名詞 | That is my house. (あれは私の家だ。) |
| 指示形容詞 | I like that woman. (私はあの女の人が好きだ。) |
| 指示副詞 | The test wasn’t that difficult. (テストはそんなに難しくなかった。) |
| 接続詞 | I didn’t know that he had died. (私は彼が死んだことを知らなかった。) |
| 関係代名詞 | This is the window that he broke. (これは彼が割った窓だ。) |
| 関係副詞 | I remember the day that I first met you. (私はあなたに初めて会った日のことを覚えている。) |
| 強調構文 | It was Mary that broke the window. (窓を割ったのはメアリーだった。) |

that には主なものでもこれだけの用法があります。意外と多いと思った人も多いのではないでしょうか。
「that の用法っていくつ知ってる?」と聞くと、「接続詞・形容詞・代名詞・関係代名詞・関係副詞」のメジャーな that の用法5つが返ってくることが多いですね。または、ここから関係副詞を抜いた4つです。
「that の用法は5つ」と言われることもあり、最初のうちは5つで OK です。ただ、指示副詞や強調構文も、知っておいて損はありません。これを良い機会だと思って、7つで整理しておくのがおすすめです。
これらの that の具体的な例文がどのくらい思い浮かびますか?ここから1つずつ説明していきますので、各用法をしっかりと整理しましょう。
指示代名詞の that「あれ・それ」
- That is my house.
(あれは私の家だ。)
「それ」「あれ」などの意味を表します。一番なじみのある用法かと思います。指示代名詞(「これ」「あれ」のように、ものを指し示す代名詞)の1つです。
this と that の違い
this は話し手の近くにあるもの、that は話し手から離れたものを指します。距離は場所だけでなく、時間や気持ちの距離でもかまいません。
- I’ll never forget that summer.
(あの夏のことは決して忘れない。)
上記の英文は、過去の夏を「今から離れたもの」として that で指しています。相手が言ったことを受けるときも、that を使うことが多いです(That’s a good idea.=それはいい考えだね)。
比較で使う that of ~
比較の文では、同じ名詞のくり返しを避けるために that を使います。複数の名詞のときは those です。
- The population of Tokyo is larger than that of Osaka.
(東京の人口は大阪の人口より多い。)
上記の英文の that は、the population のことです。比べるのは「東京の人口」と「大阪の人口」なので、than Osaka ではなく than that of Osaka にします。
That’s right. など会話でよく使う表現
- That’s right.(その通り。)
- That’s it.(それだ。/以上です。)
- That’s why I was late.(そういうわけで遅れたんです。)
- That’s that.(それで決まり。/それでおしまい。)
どれも、直前に話した内容を that で指しています。That’s that. は「もう話すことはない、これで終わり」という、話を打ち切るときの言い方です。
指示形容詞の that「あの~・その~」
- I like that woman.
(私はあの女の人が好きだ。)
「その~」「あの~」などの意味を表します。これも中学で習う形ですね。うしろに名詞が続くのが目印です。名詞が複数のときは、those books(あれらの本)のように those を使います。
指示副詞の that「そんなに~・それほど~」
- I didn’t think the test was that difficult.
(そのテストがそれほど難しいとは思わなかった。)
that+形容詞/副詞の形で、「それだけ~、そんなに~」などの意味を表します。主に話し言葉で使われる用法です。形容詞や副詞を修飾するので、「指示副詞」といいます。so と似た意味です。
指示副詞とは、「そんなに」「それほど」のように、程度を指し示す副詞のことです。指示代名詞の that が「あれ」とものを指すのに対して、指示副詞の that は「それくらい」と程度を指します。
この用法は意外と盲点になっている人もいるので気をつけましょう。
not that+形容詞「それほど~ではない」の形が多い
指示副詞の that は、否定文や疑問文でよく使われます。
- It’s not that expensive.
(それほど高くないよ。) - Is it really that bad?
(本当にそんなにひどいの?)
肯定文でも使える場合があります。手で大きさを示しながら言うときなどです(The fish was about that big.=魚はこれくらいの大きさだった)。この that も「手で示したその程度」を指しています。If it’s that important, I’ll do it.(そんなに大事なら、やるよ)のように、相手の話に出た程度を受けるときも、肯定文で使えます。
so との違い
so にも「そんなに」の意味があります。ただ、so は肯定文で「とても」の意味でもよく使います(It’s so hot today.=今日はとても暑い)。一方、that は「話に出た程度」や「相手が思っている程度」を指すときに使います。
そのため、「今日はとても暑い」のように、単に程度が大きいことを言うだけなら so を使います。It’s that hot today. とは、ふつう言いません。イギリスの一部では、くだけた話し言葉で so の代わりに that を使うこともあります。ただ、学習者は so を使えば大丈夫です。
接続詞の that
接続詞の that は、うしろに「主語+動詞」がそろった文(節)を続けて、文と文をつなぎます。用法はさらに分かれます。
名詞節を作る that「~ということ」
- I didn’t know that he had died.
(私は彼が死んだことを知らなかった。)
名詞節(主語と動詞を含む、名詞の働きをするかたまり)を導いて「~ということ」という意味を表し、名詞の役割をします。つまり、「主語、補語、目的語」になります。上記の英文では、「that he had died」の部分が名詞節になり、know の目的語となっています。
補語になる例も見ておきましょう。
- The problem is that we don’t have enough time.
(問題は、時間が足りないということだ。)
主語になるときは、That he is honest is clear. のように that 節を文頭に置くこともできます。ただ、主語が長くなって重たいので、ふつうは形式主語の it を使います。
- It is clear that he is honest.
(彼が正直だということは明らかだ。)
上記の英文の It は「仮の主語」で、本当の主語はうしろの that 節です。It を「それ」と訳さないように注意しましょう。
また、think・know・say などの動詞の目的語になる that は、会話ではよく省略されます。
- I think (that) she is right.
(彼女は正しいと思う。)
that がなくても、I think のうしろに「主語+動詞」が続けば、そこから名詞節が始まると考えれば大丈夫です。
同格の that「~という〇〇」
- I didn’t know the fact that he had died.
(私は彼が死んだという事実を知らなかった。)
前の名詞と同格の名詞節を導き、「~という名詞」という意味を表します。同格とは、前の名詞とうしろの that 節が「イコール」の関係にあるということです。上記の英文では、that 節は the fact の中身を表しています。
同格の that の前に来る名詞は、中身を説明できる名詞に限られます。よく使うものを覚えておくと、見つけやすくなります。
| 名詞 | 例 |
|---|---|
| fact(事実)、news(知らせ) | the news that she won the race (彼女がレースに勝ったという知らせ) |
| idea(考え)、belief(信念)、opinion(意見) | the idea that money is everything (お金がすべてだという考え) |
| hope(望み)、possibility(可能性)、rumor(うわさ) | the possibility that he will come (彼が来るという可能性) |
同格の that と関係代名詞の that は、どちらも名詞のうしろに来るので形が似ています。見分け方は、このあとの「that の見分け方」でまとめて説明します。
副詞節を作る that(感情の原因・so ~ that・so that)
- I’m happy that my mother is coming to see me.
(母が会いに来てくれるので私はうれしい。)
感情を表す形容詞+that 節の形で、「原因・理由」などを表します。happy のほか、glad・sorry・surprised・disappointed などでも使います。
「that 意味 だから」「that 意味 ので」と検索する人もいるようです。that が「だから・ので」の意味に見えるのは、次の so ~ that の形のことが多いですね。
- He was so tired that he went to bed early.
(彼はとても疲れていたので、早く寝た。) - It was such a nice day that we went for a walk.
(とても天気のいい日だったので、私たちは散歩に出かけた。)
so+形容詞/副詞+that、such+(a)+形容詞+名詞+that で、「とても~なので…」という結果を表します。形容詞・副詞だけなら so、名詞が入るなら such と覚えておきましょう。ただし、many・much・few・little が付く名詞には so を使います(so many people that ~)。
so と that がくっついた so that は、「~するために」という目的を表します。
- I left home early so that I could catch the first train.
(始発の電車に間に合うように、早く家を出た。)
so that のうしろには、can・could・will・would などの助動詞がよく入ります。会話では that を省略して、so I could ~ と言うこともあります。ただ、カンマを付けた「, so ~」は「だから~」という結果の意味になるので、区別しましょう。
関係代名詞の that
- This is the window that he broke.
(これは彼が割った窓だ。)
関係代名詞の that は中学で習うものですが、苦手な人も多いですね。関係代名詞は代名詞なので、節の中で名詞の役割をします。上記の英文では、that は broke の目的語の役割をしています。そのため、that のうしろの he broke には目的語がありません。
that は、先行詞(説明が加えられている名詞)が人でも物でも使えます。ほかにも、次のような決まりがあります。
- 先行詞に最上級・the only・all・every などが付くとき、先行詞が everything・nothing のときは、that がよく使われる(例:This is the best movie that I have ever seen.)
- 先行詞が人と物の両方のときも that がよく使われる。ただし、who・which が使えないわけではない
- カンマのあと(, that ~)と、前置詞のすぐうしろでは、関係代名詞の that は使えない(the house in which I live を the house in that I live にはできない)
- 目的格の that は省略できる(This is the window he broke.)
「関係代名詞は、迷ったら which より that を使えば無難」と言われることもあります。個人的にも、基本的にはそうだと思います。特にアメリカ英語では、カンマのない関係代名詞に that がよく使われます(イギリス英語では which もふつうに使います)。ただ、上のとおり、カンマのあとと前置詞のうしろでは that は使えないので、そこだけは注意しましょう。
関係副詞の that
- I remember the day that I first met you.
(私はあなたに初めて会った日のことを覚えている。)
関係副詞の when・why の代わりや、the way に続く in which の代わりに、that を使う場合があります。上記の英文は、関係副詞 when の代わりに使っています。
関係代名詞の that と違い、うしろの I first met you は、主語も目的語もそろった文です。この that は省略されることも多く、I remember the day I first met you. と言っても同じ意味になります。
強調構文の that
- It was Mary that broke the window.
(窓を割ったのはメアリーだった。)
It is と that の間に、強調したい語句をはさむ形の文です。上記の英文では、「窓を割ったのは、ほかの誰かではなく、メアリーだった」ということを強調しています。
この文の形は、It is と that を消して語順を整えれば、完全な文になります。上記の英文を元に戻すと、
- Mary broke the window.
と完全な文になりますね。強調するのが人のときは、It was Mary who broke the window. のように who もよく使います。形式主語の It is ~ that とは、ここで見分けられます。形式主語の文(It is clear that he is honest.)は、It is と that を消すと clear he is honest となり、文になりません。
that の見分け方|接続詞・同格・関係代名詞の区別
ここまでの7つの用法を、見分け方の目安でまとめます。ポイントは、that のすぐうしろに何が来ているかと、うしろの文が完全な文か、欠けた文かの2つです。

- that のうしろが名詞で、その名詞のあとに動詞が続かない(that woman)→ 指示形容詞。I know that Tom is busy. のように「名詞+動詞」が続くなら、接続詞などを考える
- that のうしろが形容詞・副詞(that difficult)→ 指示副詞
- that が主語や目的語として1語で使われている(That is ~/I know that.)→ 指示代名詞
- It is(was)~ that の形 → 先に強調構文かを確かめる(It is と that を消して文になれば強調構文)
- that のうしろに文が続き、主語や目的語が欠けている → 関係代名詞
- that のうしろが完全な文 → 接続詞(前に fact などの名詞があれば同格)。前が the day・the reason などなら関係副詞
強調構文で主語や目的語を強調すると、that のうしろは欠けた文になります。It was Mary that broke the window. の broke the window には、主語がありませんね。関係代名詞と間違えないように、It is ~ that の形なら4を先に確かめましょう。
特に迷いやすいのは、同格の that と関係代名詞の that です。どちらも名詞のうしろに来ますが、うしろの文を見ると区別できます。
| 用法 | 例文 | that のうしろ |
|---|---|---|
| 同格の that | the news that she won the race (彼女がレースに勝ったという知らせ) | she won the race で完全な文 |
| 関係代名詞の that | the news that she told me (彼女が私に話した知らせ) | told me のあとの「何を」が欠けている |
なぜうしろが欠けるのか分かりますか?そう、関係代名詞の that 自体が、節の中で主語や目的語の役割をしているからですね。接続詞の that は文と文をつなぐだけなので、うしろの文には何も欠けていません。
「接続詞と関係代名詞は、うしろが完全な文かどうかを見ればほぼ解決する」とよく言われます。個人的にもそう思います。迷ったら、まず that のうしろに欠けている所がないかを確かめてみてください。
He said that that that that that boy used in the sentence was wrong. の that を見分ける
まとめとして、この記事の最初にあげた英文にどんな that が使われているか考えてみましょう。分かりやすいように、that に番号を付けます。③は単語そのものなので、本来は引用符を付けて “that” と書きます。
He said that① that② “that”③ that④ that⑤ boy used in the sentence was wrong.
(彼は、あの少年がその文で使ったその that は間違っていると言った。)
この英文には5つの that が使われていますが、順番に用法を見ていきます。
- ①の that:接続詞(said that ~で、「~と言った」という意味)
- ②の that:指示形容詞(③の that と合わせて that “that”「その that」という意味)
- ③の that:that という単語そのもの(名詞として使われている)
- ④の that:関係代名詞(先行詞は③の “that”〔②の that が付いて「その “that”」〕。うしろの that boy used in the sentence は、used の目的語が欠けている)
- ⑤の that:指示形容詞(that boy の形で、「あの少年」という意味)
④の関係代名詞の that から sentence までが、②③の that “that” を説明しています。全体の骨組みは「He said that(その that は間違っている)」というシンプルな形ですね。
このような用法の that となっています。ちゃんと判別ができたでしょうか。
ちなみに、この英文は実際の英語でふつうに使う文ではなく、言葉遊びのようなものです。日本語の「庭には二羽にわとりがいる」みたいなものでしょうか。あまり深く考えず、that の用法を確かめる練習として楽しんでください。
that の用法の確認問題
最後に、確認問題で that の見分け方を練習しましょう。次の英文の that は、どの用法でしょうか。
- I didn’t know it was that late.
- The news that she got married surprised us.
- This is the best movie that I have ever seen.
- It was yesterday that I lost my wallet.
- She studied hard so that she could pass the exam.
解答と解説(タップで開く)
- 指示副詞
(もうそんなに遅い時間だとは知らなかった。)
that のうしろが形容詞の late です。 - 同格の that(接続詞)
(彼女が結婚したという知らせは、私たちを驚かせた。)
うしろの she got married は完全な文で、the news の中身を表しています。 - 関係代名詞
(これは私が今まで見た中で一番良い映画だ。)
have seen の目的語が欠けています。先行詞に最上級が付いているので、that がよく使われる形です。 - 強調構文
(私が財布をなくしたのは昨日だった。)
It was と that を消すと、yesterday I lost my wallet. = I lost my wallet yesterday. と文になります。 - 接続詞(so that「~するために」)
(彼女は試験に合格するために、一生懸命勉強した。)
so that+主語+could で目的を表しています。
まとめ
- that の主な用法は7つ(指示代名詞・指示形容詞・指示副詞・接続詞・関係代名詞・関係副詞・強調構文)。根っこは「離れたものを指す」感覚
- 指示副詞の that は「そんなに~」の意味で、not that+形容詞のように否定文・疑問文でよく使う
- 接続詞の that には、名詞節(~ということ)・同格(~という〇〇)・副詞節(感情の原因、so ~ that、so that)がある
- 接続詞と関係代名詞は、that のうしろが完全な文か、欠けた文かで見分ける
- 関係代名詞の that は人にも物にも使えるが、カンマのあとと前置詞のうしろでは使えない
今回は that の用法を整理してきました。最初は用法が多くて、なかなか判別が難しいと思いますが、少しずつ慣れていきましょう。迷ったら、いつでも「that のうしろに何が来ているか」から考えてみてください。
that をもっと詳しく学習したい人へ
that のように用法が多い語は、文法書で例文と一緒に整理しておくと、迷ったときにすぐ確かめられます。そんなときに役立つのが、『表現のための実践ロイヤル英文法』です。辞書としても、通読する文法書としてもおすすめできる、バランスの取れた名著だと思います。
高校レベル以上の英文法を、気になった所から引いたり、じっくり読み進めたりしたい人に向いています。一方、中学の英文法から不安な人には、説明が詳しく感じられるかもしれません。
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さらに、英語をたくさん読んだり聞いたりして、実際に使われている英文に出会うことも大切です。
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参考資料
