苦手な人が多い、英文法の難しい単元を分かりやすく解説する「英文法の苦手を克服」シリーズ、今回は「話法(基本編)」です。
話法は高校英文法の「話法の転換」という単元を勉強する時に初めて意識する人が多いかと思います。苦手だと感じている人も多いですが、話法を使った文は英語で書かれた本を読むとたくさん出会います。
英語の多読でよく使われる英単語や英文法がレベルごとに制限されている「Graded Readers(語彙制限本)」でも、話法は比較的早いレベルから使われています。
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この記事を読んで、話法の基本についてしっかりとマスターしましょう。
英語の話法「直接話法と間接話法」
直接話法とは
直接話法とは、誰か(発言者)が話したこと(伝達内容)をそのままの形で伝える方法のことです。
He said, “I’m busy.”
「私は忙しい」と彼は言った。
誰かが発したセリフをそのまま引用して書く方法と言えばイメージが湧くでしょうか。つまり、上の例文の He は” I’m busy. ”と実際に言っています。
この直接話法は比較的分かりやすいかと思います。
のように、セリフの引用部分が前に来る場合もあります。さらに、
のように、主語と伝達動詞が倒置した形もよく出てきます。主語が代名詞(Heなど)の場合は、基本的にこの形は取らないことに注意して下さい。上の例文では Tom が主語ですね。
間接話法とは
間接話法とは、誰か(発言者)が話したこと(伝達内容)を「自分(話し手)の立場」で伝える方法のことです。直接話法で言うセリフ部分は名詞節になり、伝達動詞の目的語になります。
He said that he was busy.
自分は忙しい、と彼は言った。
間接話法では、直接話法で使われていた引用符「 ”” (ダブルクォーテーションマーク)」を使わずに、セリフと同じ内容を自分(話し手)の言葉に直して表します。「話し手」とは上の例文「He said that he was busy.」自体を書いた人と考えると分かりやすいと思います。
直接話法「He said, “I’m busy.”」の”I’m busy.”は、現在の自分(話し手)からみて「(He was busy.)彼は忙しかった」と直します。
直接話法と違って間接話法では、 He は “He was busy. “とは言っていません。He(彼)が言ったのはやはり”I’m busy.”で、それを話し手の立場から書いているだけです。直接話法の””内のセリフ であるI’m busy. が、名詞節「that he was busy」になり、said の目的語になっています。
話法の転換と時制の一致
なぜ、間接話法で人称が I から He に変わったのかというと、「He(彼)が言った”I”」というのは、自分(話し手)からみると He だからです。
さらに、なぜ am が was に変わったのかというと、”He said “から分かるように、彼が「I’m busy.」と言ったのは過去のことだからです。主節の動詞の時制に合わせて従属節の動詞の時制が変わります。これが有名な「時制の一致」というやつです。
こういう書き換えを話法の転換といいます。時制の一致や話法の転換にはもっとたくさん説明したいことがありますが、この記事は基本編なので簡単に触れる程度にしておきます。
最初は「え、 He なのに I? was なのに am?」とこんがらがる人も多いと思います。少しややこしいところですが頑張りましょう。一度理解してしまえば何てことはありません。
「人称って何?」という人はこちらの記事をどうぞ。
描出話法とは
次は、「描出話法」という少し特殊な話法を説明します。
描出話法とは、直接話法と間接話法が混ざった中間的なもので、小説などによくみられます。
ただ混ざったとか中間とか言われてもよく分からないと思うので、もう少し具体的にいうと、描出話法は
- 主語+伝達動詞は書かず
- 語順は直接話法
- 人称と時制は間接話法
で表すことが多いです。次の3つの例文を見比べてみて下さい。
彼は動揺していた。彼は「私に何が出来る?」と言った。
彼は動揺していた。彼は自分に何が出来るのかを私にたずねた。
彼は動揺していた。自分には何が出来るのか。と
最後の例文が描出話法です。直接話法・間接話法で使っていた「主語+伝達動詞(例文では He asked にあたるもの)を書かずに発言者の話した内容を書く」ことで、話の登場人物の発言内容や心情などを表します。
最後に
話法について解説してきました。間接話法と描出話法は少しややこしいところですが、しっかりとマスターして下さい。英語を読んでいると話法は本当によく出てくるの慣れておきましょう。
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