日本の学校の英語教育の問題点、足りないものは何か?

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「学校で何年も英語を勉強したのに日本人は英語ができない」とよく言われます。では、学校の英語教育に足りないものは何でしょうか。どうすれば英語ができる日本人が今より増えるのでしょうか。

今回は、この点について私の考えを紹介します。

目次

日本の学校の英語教育で足りないものは?

  • 英語の発音練習量
  • 覚える英単語の数
  • 習った文法を使いこなすための練習
  • 覚える英会話定型フレーズの数
  • 英語の多読多聴
  • 実際の英会話量

など、たくさんありますが、私個人の意見としては、学校英語の問題点は内容よりも量の問題なんだと思うんですよね。授業時間数が限られているので仕方ないですが、学習量(英語に触れる時間)自体が圧倒的に足りていません。英語のインプット量もアウトプット量もです。

学校英語への批判というと、なぜか単語のイメージや会話表現の細かいニュアンスの違いを挙げて、

  • 「こんな英語を学校で教えているから日本人は英語ができないんだ!」
  • 「こういうニュアンスの違いをちゃんと教えないからダメなんだ!」
  • 「文法なんて勉強しているから喋れないんだ」

というようなことがよく言われますよね。まるで、学校で使えない英語を教えているから日本人が英語ができないかのように言う批判を見聞きすることが多いです。では、その使えない英語・不自然な英語とやらならペラペラと喋れるのかというと、まず無理な人が多いでしょう。

日本人が英語ができないというのは、喋る英語が不自然とかいう以前の問題で、そもそも英語が出てこないということだと思います。いくら英語のネイティブスピーカーの持っている英単語などのニュアンスを学んだところで、実際に口に出す練習をたくさんしないことには英語は話せるようにはなりません。話す練習量が足りていないのです。

「文法を勉強しているから英語がしゃべれない」というのも個人的にはよく分からない批判です。私は文法の習熟度が低い(パッと言えるレベルまで練習していない)のが問題であって、文法を勉強することは必要だと考えています。つまり、習熟度が低すぎて使える状態になっていないだけというのが現実です。

もちろん覚える英会話表現の量や実際の英会話量などが圧倒的に足りていないのも事実なのですが、英文法だって十分に習得出来ているわけではないので、そこの時間を削って他に回しても状況はほとんど変わらないでしょう。

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また、英文法と英文読解の学習比率が非常に高いのに、多くの日本人が高校卒業時点で洋書や英字新聞などが満足に読めないというのも、英単語量や英文の読書量が足りていないからです。やはりここでも量が問題です。

関連記事:日本人が洋書を読めない主な理由と、読めるようになるのに必要なこと

その点、同じアジアの国でも英語ができる人が多いと言われるインドやフィリピンなどの学校は、日本の学校教育と比べると圧倒的に英語に触れる量が多いです。とはいえ、日本の公立学校でフィリピンのように英語で国語以外の全ての授業を行うイマージョン教育を実施するというのは現実的ではないでしょう。

学校のカリキュラムが大きく変わらないのであれば、やはり学校外での学習が重要になってきます。

現在の日本では小学3年生から外国語活動が始まり、5年生からは英語が教科化されますが、おそらく最終的には1年生から教科として英語を学習するようにはなるんじゃないかなと思っています。何年後かはわかりませんが。

そもそも日本人の英語学習量が少ないのはなぜか

  • 英語が日常生活や生きていく上で必須ではない
  • 英語のコンテンツに興味がない(基本的に日本語で何でも楽しめる)
  • 学校の英語の時間数が少ない

これらは大きな原因だと思います。このような人にとっては、英語なんて別に勉強する必要がないんですからね。普通は自分が必要としていないものに時間や労力を使わないですよ。英語学習ってある程度長期間、地道にやらないと効果がでないので結構たいへんですし。

英語や、英語のコンテンツに楽しさを見出したり、英語が出来るようになることのメリットをしっかり授業でも伝えることが大切になってきます。

学校の定期テストや大学受験でスピーキングの試験でもあれば状況は変わりそうですが、実現するには色々と超えないといけないハードルが多そうです。

日本の英語教育の問題点

日本の英語教育の1番の問題点は、量が足りないという事実を生徒に伝えないことでしょう。

「学校の英語の授業で出来るようになるのはこのあたりのレベルまで。だから足りない部分は授業以外に自分でやらないと英語はできるようにならないよ」と、最初にハッキリと英語学習のロードマップ的なものを提示し、具体的にどのようなことをする必要があるのかを教えてあげるのが、ある意味いちばん効果的な英語教育ではないかと私は考えています。

もちろん、ちゃんと伝えている英語の先生も中にはいると思いますが……

実際、大学受験英語までで学習することがものすごく高度な英語だと思ってる人ってかなり多いですよね?文法や英文解釈の学習に関しては範囲は十分ですが、やはり使えるまで練習するというところまではできていません。

さらに、語彙や会話表現なども普通に英語コンテンツを楽しむには全く数が足りてないんですよね。「受験勉強であんなに分厚い単語集を使って単語をたくさん覚えたのに?」と思うかもしれませんが、全然足りません。

関連記事:洋書を読むには本当に10000語以上の英単語を覚えることが必要なのか【英語多読・ボキャビル】

なので、例えば

  • 普通の洋書を読めるようになるには、学校でやる分に加えてあと数千語の英単語を覚える必要がある
  • 英文法は頭で理解するだけでなく、読んで分かるだけでなく、自分で自由に使えるように練習する必要がある
  • 学校で勉強する以外の英会話の定型フレーズも大量に覚えないと、英語で映画やドラマ、アニメなどは楽しめない
  • 英語のコンテンツに触れて実際に使われているところをたくさん見聞きすることで、習った英語がどんどん使えるようになっていく

など、ちゃんと事実を伝えてあげるべきだと思うんですよね。ここから先は学校の英語の授業では時間数が足りないので出来ないと。

あとは、学校でやる範囲の英語力でもこういう作品が楽しめる、というものをリスト化してあげるのもいいと思います。探せば中学生でも読める洋書はあるんですよね。

関連記事:【英語多読】中学レベルで読めるGraded Readers(語彙制限本)と洋書の児童書のおすすめを紹介します

高校レベルまでいくと読める範囲が大きく広がりますし、話も面白いものが増えてきます。

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このようにちゃんと伝えれば、本気で英語を使えるようになりたい人は授業外でも英語をやるでしょうし、そこまでいらないかなという人は無理に勉強することもない。

例えば、

「洋書は読めるようになりたいから、英単語はもっと頑張ろう」

「英語を喋れるようになりたいから、英会話フレーズを覚えるのはもちろん、発音練習と文法を自由に使う練習もみっちりやろう」

このように、学校英語の到達点が自分の目標地点からどの程度離れているのかがある程度分かっていれば、自分で計画も立てやすいです。

「学校で6年以上勉強したのに英語ができるようにならない」という定番の学校英語批判の定型フレーズを発して嘆いたり、「学校で習う英語とは違う、実用英語といわれる本当の英語があるんだ」と大きな勘違いをしてしまう人も少なくなるのではないでしょうか。この勘違いは本当に百害あって一利なしです。

これをもっとこじらせてしまうと「”My name is ~.”なんてネイティブは誰も使っていない学校英語!」とか言ってしまうわけです……

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最後に

私の考えでは、学校の英語教育の問題点、足りないものは

  • 英語学習のロードマップの提示

この2点。量の問題は今の学校のカリキュラムで解決するのは難しいと思いますが、英語学習の道のりをちゃんとイメージさせることで、せめてやる気のある人が適切な努力をできるようにしたいところです。

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