「英文法の基礎の基礎は分かってるんだけど、○○になるとさっぱり…」
というような人に向けて、「苦手な人が特に多い英文法の難しい単元・項目」などを集中して紹介・解説していこうという、「英文法の苦手を克服する」ためのシリーズの1回目です。今回は「原形不定詞・知覚動詞・使役動詞」について説明します。みなさん、おそらく不定詞の項目などを勉強した時に見たことがあるのではないでしょうか。
例えば、使役動詞について具体的に、
- どういう動詞があり
- どういう形で使い
- どういう意味の違いがあるか
ここまで把握出来ているでしょうか。使役動詞の理解はとても大事なので、この3つについても説明します。しっかりと整理して理解しましょう。
原形不定詞とは
原形不定詞とは「to のつかない不定詞」のことを言います。つまり、動詞の原形の形ですね。
原形不定詞は
- 助動詞の後
- know や help などの後
- 知覚動詞 + O(目的語)+ 原形不定詞
- 使役動詞 + O(目的語)+ 原形不定詞
これらの形で使います。今回は主にこの中の「知覚動詞・使役動詞の後で使う用法」について説明していきます。それでは、次は知覚動詞・使役動詞について見ていきましょう。
知覚動詞とは
知覚動詞とは、知覚や感覚(見たり、聞いたり、感じたり)を表す動詞のことをいいます。主なものは、例えば
- see
- hear
- feel
- notice
などがあります。知覚動詞は、目的語 + 原形不定詞を後ろに置いて使うことが出来ます。
知覚動詞はもちろん他にもたくさんありますので、英語の語法の本などでまとめて整理して覚えてしまうのがおすすめです。
関連記事:『英語語法 Make it!』は「語法が覚えられない人」におすすめの語法参考書、特徴・覚え方を紹介!
知覚動詞 + O(目的語)+ 原形不定詞
知覚動詞 + O(目的語)+ 原形不定詞は、「O (目的語)が、~する(原形不定詞)のを見る、聞く、感じる…(知覚動詞)」の意味を表します。例えば、
I heard something fall on the floor. 何かが床に落ちるのを聞いた。
このような形で使います。この場合は「somethingがfallするのをheard」ということですね。
使役動詞とは
使役動詞とは、名前の通り、「~させる」という使役の意味を表す動詞のことを言います。
使役動詞には
- make
- let
- have
- get
があります。
例えば、実践ロイヤル英文法(黃ロイヤル)では使役動詞にgetは含まれていますが、アトラス総合英語では<参考>欄で紹介されています。
使役動詞の使い方
使役動詞は、
使役動詞 + O(目的語)+ 原形不定詞
主にこの形で使います。例えば、
My mother made me clean the room. 母は私に部屋を掃除させた。
このような形ですね。
それでは、実際の使役動詞の使い方、ニュアンスの違いを見てみましょう。
使役動詞 make, let, have, get, の違い
使役動詞のこれらを、どれも「~させる」でひとくくりに覚えている人もたまにいます。
しかし、これらはそれぞれ意味が違うので、ニュアンスの違いをここで理解して使い分けられるようにしておきましょう。
make のニュアンス
makeは「いやがったり、拒否しているのに無理やり~させる」という感じです。強制のニュアンスですね。ここで、先ほども出てきた例文を。
My mother made me clean the room. 母は私に部屋を掃除させた。
「めんどくさー、やだ!」と嫌がってる自分に、母が「やりなさい!」という感じでしょうか。
let のニュアンス
letは「やりたがってるのをさせてやる」というニュアンス、つまり許可を表すということですね。
I let my son drive my car. 息子に車を運転させた。
息子が「車使わせてよー」というのを「よかろう」と許した感じですかね。
have のニュアンス
have は「させる側とさせられる側の関係が、頼めば当然それをやってもらえるという関係の場合」に使います。「当然の権利として~してもらう(させる)」と考えてもいいです。
例えば、お金を払って何かをしてもらうような時や、目上の人が目下の人に頼む場合などですね。よく例文であるのは髪を切ってもらうというやつですね。2つ例を見てみましょう。
I had her cut my hair short. 彼女に髪を短く切ってもらった。
I’ll have him carry this case. 彼にこの箱を運ばせる。
拒否されたのに無理やり切らせたなら make が使えますし、切らせてくれ!って頼まれて切らせてあげたのなら let が使えます。そういうシチュエーションになればですが。
have は meke や let と比べると少しややこしいかもしれませんが、頑張って理解しましょう。
get のニュアンス
getは「説得したり頼み込んだりして、何とかやってもらう」という意味を表します。get の「手に入れる」という意味からもイメージが浮かぶでしょうか。例えば、
I got him to correct my essay. 彼に作文を添削してもらった。
頼み込んで彼に添削してもらうという感じですね。
原形不定詞・知覚動詞・使役動詞を使う文の注意点
O(目的語)が、~する(原形不定詞)というところを意識する
ここをしっかりと意識して読んだり使ったりして下さい。どういう形を取るのか、ということももちろん大切です。
今回は詳しくは取り上げていませんが、helpを使った文に原形不定詞を使う場合でも同じです。(例:”I helped her cook.(私は彼女が料理をするのを手伝った。)”)
受動態にすると原形不定詞が to + 動詞の原形になる
先ほど見たとおり、知覚動詞や使役動詞(make)を使った文は、O(目的語)がありますよね。ということは、目的語を主語にした受動態を作ることが出来ます。1つ例をみてみましょう。
- He made me wait for an hour. 彼は私を1時間待たせた。
- I was made to wait for an hour by him. 私は彼に1時間待たされた。
このような感じですね。肯定文の時は原形不定詞を使っていますが、受動態では to + 動詞の原形を使っています。
最後に
今回は、原形不定詞・知覚動詞・使役動詞について見てきました。make, let, have, get, の違いなどはあいまいだった人も多かったのではないでしょうか。これらがしっかりと整理、理解出来ていると、より英文を正確に理解したり、言いたいことを伝えられたりします。
これからも、「基礎の基礎のレベルを少し越えた、苦手な人が多い文法項目や語法」について説明する記事を書いていきますので、文法が苦手な人も少しずつ勉強してみて下さい。
Kindle版の英文法書を使うと疑問点などを調べる時にかなり便利です。効率よく英語学習を進めることが出来ると思いますので、1冊は持っておいて損はないでしょう。
関連記事:英文法書のKindle版がおすすめ!メリットだらけ&便利すぎるので英語の勉強に活用しよう!
関連記事:英文法書や総合英語は通読するべき?辞書として使用するべき?おすすめはどれ?
英語をたくさん読んだり聞いたりして、実際に使われている英文に出会うことも大切です。
関連記事:日本人が洋書を読めない主な理由と、読めるようになるのに必要なこと
- 完了不定詞と時の組み合わせ(seem to have been などの話)
- 不定詞 be動詞 + to do
- 未来のことの仮定を表す仮定法 were to と should の違い
- almost, most の使い方と違い(almost all of やmost of など)
- 「仮定法現在」の説明と、なぜ should や原形を使うのか
- 接続詞・前置詞・関係代名詞 as の用法・意味のまとめ、解説
- 比較 クジラ構文 「 no more ~ than 」の意味・考え方
- 比較 「 no more than, no less than, not more than, not less than 」の意味の違い、考え方のまとめ