「単語はわかるのに読めない…」
「知ってる英単語ばかりなのに、英文の意味が正確に取れない」
英語を勉強していて、こういう悩みを持つ人は多いのではないでしょうか?中には、「なぜ英文が読めないんだろう、自分には英語は無理なのかな…」と落ち込んでしまう人もいます。知ってる単語のはずなのに英文になると全く意味がわからないとなると、英語は自分には向いてないのかと思ってしまいますよね。
今回はこの点について、私の考える原因とその解決法を紹介します。
単語はわかるのに英文が読めない主な原因
まず、原因から考えてみましょう。
- 実は英単語の意味がわかっていない
- イディオム(句動詞を含む)・慣用表現を知らない
- 英文法・構文の理解が不足している
「英単語はわかるのに英文が読めない」主な理由としてはこのあたりでしょうか。ひとつずつ見ていきましょう。
【多義語】実は英単語の意味がわかっていない
このパターン結構多いんですよね。
She rolled and cavorted in the snow.
『The Japan Times Alpha』 Friday, February 7, 2020
「おすすめ週刊英字新聞『The Japan Times Alpha FEBRUARY 7, 2020』読んだ感想、英単語・英会話表現などの紹介 第2回」で紹介した英単語「cavort」ですが、こういった単に意味を知らない難単語は辞書などで調べるようにして下さい。それでだいたい解決します。
問題は「実は知ってるつもりだっただけの英単語」の場合です。英単語には自分が既に覚えている意味の他に、意外な用法・意味があったりしますので注意が必要です。「多義語」というやつですね。
まず考えられるのは、基本動詞(get, give, have, take, makeなど)の用法が押さえられていないことです。これらの基本動詞は用法がものすごく多くありますし英会話でも頻出なので、一度整理しておくことをおすすめします。例えば
このような基本動詞について書かれた本を1冊読むのも良いですし、英和辞書・英英辞書でこれらの基本動詞の項目を読んでみるのも良いでしょう。できれば自分でも使いそうな用法は練習しておきましょう。
他にも、動詞以外の多義語の知識が不足していることが原因ということもよくあります。
例えば「interest (利子)」「fine (罰金)」など、自分が最初に覚えた意味とはちょっと違った意味を持つ多義語に出会ったことはありませんか。
英文の意味がよくわからない時は、自分のすでに知っている英単語(前置詞なども含む)の意味の他にも重要な意味があるのではないかと疑って辞書を引いてみましょう。それで解決することも多いです。
『システム英単語』や『ネクステージ』のような多義語がまとめてある単語集や問題集などを使って、よく出てくるものについてはある程度まとめて頭に入れておいたりするのもひとつの手です。
もちろん、英語の多読を通して少しずつ自分の知らない英単語の用法・意味に出会って覚えていくのも王道です。英語は自分が触れた英文量がものをいいますので、なるべくたくさん読むのを習慣にしたいですね。
イディオム(句動詞を含む)・英語構文・慣用表現を知らない
これも英単語の意味がわからないときと同じで、辞書を引いてみると解決することが多いです。特に句動詞(Phrasal Verb)は基本単語+前置詞・副詞の組み合わせなので、「単語は簡単なはずなのに読めない…」となりやすいです。
句動詞はたくさんありますし、英語のネイティブスピーカーでない私たちには特に難しく感じると思います。対策としては、
のような句動詞の本を、1冊でいいので覚えてしまうとかなり楽になります。難しい英単語ではなく、句動詞をよく使う英会話で特に効果を発揮します。句動詞を使えるようになると、一気に自分の話す英語が自然なものになります。
世界的なベストセラーの英文法ドリル『Grammar in Use』で有名な「In Use」シリーズからも句動詞版の『English Phrasal Verbs in Use』が出ています。
基本的なイディオムや英語構文が1冊で学べる『速読英熟語』もおすすめですね。知らないと本当に意味が分かりませんから、ある程度は事前に頭に入れておくのが良いでしょう。
英文法・語法の知識と理解が不足している
「単語はわかるけど読めないんです、意味がわからないんです」と相談される場合、話を聞いていると単に「英文法・語法の基礎的な力が不足しているだけ」ということもとても多いです。高校卒業までで習う英文法・語法・構文があやふやな人が本当に多いという印象があります。
例えば、
Had it not been for Russian veterinarian Sergei Gorshkov, he might be dead today.
ロシアの獣医、セルゲイ・ゴルシュコフ氏がいなければ、彼は死んでいたかもしれない。『The Japan Times Alpha』 Friday, February 21, 2020
これは私がおすすめしている週刊英字新聞『The Japan Times Alpha』の記事からの引用ですが、こういった英文の意味が一読して取れないなどです。 (この記事の「彼」とは、猫のことです。)
上記の英文は「仮定法過去完了」の慣用表現が使われています。if を省略した仮定法過去完了で倒置が起こっています。これは高校生(人によっては中学生)の時に習っている人が多いはずです。仮定法過去完了をちゃんと勉強している人にとっては何の疑問もなく一瞬で意味が取れる英文だと思います。
みなさんはどうでしょうか、問題なく読めましたか。英単語の意味が全部わかるのにこれらの英文がちゃんと読めなかったという場合、ざっと英文法の復習をしておくのをおすすめしておきます。他の英文法項目にも必ず穴があるはずです。
英文法の疑問点などを調べる時は、Kindle版の英文法書を使うとかなり便利です。効率よく英語学習を進めることが出来ると思いますので、1冊持っておいて損はないでしょう。もちろん、手元に総合英語や英文法書がある場合はそれでもOKです。
おまけでもう一つ紹介します。
This is the video game that most of the kids in my school say is just awesome.
(これ、僕の学校の子たちのほとんどがホントにすごいって言ってるゲーム)一見複雑なようですが、ネイティブは会話レベルでこれをやります。実際この例文、小学生がふつうに話す文なんですよ。
大西泰斗『一億人の英文法』
こちらはこのサイトの「連鎖関係代名詞とは?節の挿入?基本的な考え方からwhat使用や 省略パターンまで完全マスター!【英文法の苦手を克服!】」という記事で詳しく紹介していますが、連鎖関係代名詞という英文法が使われています。いかにも難しそうな名前自体はある意味どうでもいいのですが、その内容はしっかりとマスターしておく必要があります。
2つの例を紹介しましたが、人によってはもっと簡単な、中学や高校の最初で習うような基礎的な英文法の理解が不足しているだけということもあります。英語は単語だけ分かれば読めるというものではないので、バランス良く勉強するのがおすすめです。
『大学入試 肘井学の 読解のための英文法が面白いほどわかる本』のような本で、読解によく出てくる基礎英文法に絞ってひととおり確認しておくのも良いでしょう。
【英文解釈】読みにくい・難しい英文というのは存在する。読めるようにするには?
人が書いた文章ですので、どうしても読みにくい・難しい英文というのは存在します。文体などは書く人によって違いますし。どうすればそういった読みにくい英文を読めるようになるのか。
解決法のひとつとして、英文解釈の参考書を1冊読んでみることをおすすめします。英文解釈の参考書はまさに「英語の語彙や英文法などは分かっているはずなのに読めない、読みにくい英文」を集め、その読み方を教えてくれるものです。つまづきやすい英文の形を予習しておく感じです。
ただ、最近の英文解釈の本は単に基礎英文法を説明しているだけのものも多いので注意が必要です。
そういった完全な英語初心者用の英文解釈の参考書ではなく、『ポレポレ英文読解プロセス50―代々木ゼミ方式』『英文読解の透視図』『英文解釈教室〈新装版〉』などの大学受験用の標準レベル以上の英文解釈の参考書を1冊読むのがおすすめです。パッと見では読みにくい英文の読み方をたくさん解説してくれていますので、しっかりとマスターすれば自分の英文を読む力は飛躍的にアップします。
上記の英文解釈本は基礎英文法があやふやな状態で読んでもあまり効果は期待出来ないので注意して下さい。あくまで「基礎的な英語の語彙・文法は身についている人が読みにくい英文」を読めるようにする本です。
最後に
他にも、英語圏の人たちの文化や歴史を知っていないと、その英文の言いたいことがよくわからないということなどがたくさんあります。しかし、私個人の意見としては、こちらは最初はあまり気にしすぎず、色々な英語に触れることで少しずつ慣れていくのがいいと思います。
まずはこの記事で紹介したような英語の基礎力を固めることを目標にしましょう。また、英語は単語を覚えるだけでは思うようには出来るようにはなりませんが、自分の英語の語彙を増やすことや英語をたくさん読むことももちろん重要ですよ。