前回は「英単語数ってどれくらい必要?英字新聞やペーパーバックを読むには?英単語学習のおすすめの考え方、勉強法」
という記事で英単語学習(ボキャビル)についての考え方や、自分が英単語をいくつ知っていれば英語で書かれた小説などの英文の何%の単語をカバーできているか、認識語彙や運用語彙の話などを紹介しました。
今回は、その続きの記事です。目的・目標別に必要な単語数の目安とおすすめの単語集や勉強法を紹介します。「英単語って何個覚える必要があるんだろう」という疑問を持っている人も多いと思いますので、参考にして下さい。
英単語は人それぞれ必要な数が違う、目標やレベルにあったものを
人それぞれ、英語を勉強する目的は違うと思います。それにより、目標とするべき単語数も変わってきます。
例えば、英語で簡単な日常会話のあいさつや自己紹介程度が出来れば良いという人に、10000語以上のレベルのような英字新聞やペーパーバックでよく使われるような英単語は不要です。
一方で、英字新聞・洋雑誌やペーパーバックなどもスラスラ読みたいという人にとっては、中学や高校でやるレベルの英単語だけでは全然足りません。(何千語という単位で足りません)
関連記事:洋書初心者がペーパーバックを読めるようになる方法・中学英語からの最短ルート【英語多読】
そんなこと言われても、普通は何をやればいいのか、どういう順序で自分の英語の語彙力をステップアップさせていけばいいのかよく分かりませんよね。
ここからは、「結局、自分の目的・目標を達成するには何をやればいいの?単語は何個覚えればいいの?」という疑問を解消できるよう、順番におすすめの単語集などを紹介していきます。それでは順番にみていきましょう。
目的別の目標英単語レベル
【必須】中学レベルの英単語と、自分が使う可能性のある単語
中学レベルの英単語と、自分が書いたり話したりする可能性のある英単語は全ての学習者に必須です。中学でやるような英単語が分からないと、何をするにもかなり不自由します。というか、ほぼ何も出来ません。
また、「俺はもっと上を目指しているんだ!こんなレベルの英単語なんて余裕だぜ」って人も、このレベルの単語を決して甘くみないようにしましょう。特に基本動詞の使い方はとても奥が深いです。
中学レベルの英単語
中学レベルの英単語集のおすすめは、
- キクタン【中学英単語】高校入試レベル
- システム英単語 中学版
です。
システム英単語 中学版は中学レベルの英単語だけでなく、英熟語、中学英文法も1冊で勉強できます。暗記用音声CDも付いていますので、1冊で済ましたい人はこちらを選びましょう。
関連記事:『中学版 システム英単語』のレビューと使い方!中学英語が1冊で学べるおすすめ単語集です。【シス単】
英会話・英作文で使う英単語
次は、「自分が英会話や英作文で使う可能性のある英単語」についてです。
これは例えば海外旅行などのアウトプットする機会がある人が、軽く自分のことを話せるように、あらかじめ自分が英語で言いそうな言葉を事前にネットや英会話の本、例文集などで調べて覚えるというものです。
海外旅行や接客の英語など、簡単な英会話が出来るようになりたい
このすぐ上で説明した必須の中学英単語+αと同じで大丈夫ですが、出来れば高校レベルの英単語集に載っているようなものは知っておきたいです。
あとは、海外旅行や接客英語用の英会話フレーズ集、対話フレーズ集などで「よく使うであろう英会話表現」をピックアップして仕入れていきましょう。その勉強でも自然に語彙は増えるので十分でしょう。
英会話が英語学習の最大の目的の方は、まずは基本的な英文法をしっかりと使えるようになることが大切です。それについては「英会話でも文法を勉強することが必要な理由」で記事を書いていますので参考にして下さい。瞬間英作文などの文法トレーニングをする過程でも単語は増えていきます。
もちろん、分からない単語を言われたりした時、聞き直したり、ちゃんと別の言葉で教えてもらえるように準備しておきましょう。
ある程度の準備が出来たら、オンライン英会話などの実践の場を作って実際に使ってみましょう。英会話の勉強で最も大事なことのひとつは、「自分の言えなかったことを言えるように修正する勉強」です。「自分が言いそうなこと、言いたかったのに英会話の実践でスッと出てこなかったこと」は常に調べる姿勢を持って下さい。
関連記事:オンライン英会話が英語のスピーキング上達におすすめ!瞬間英作文の効果を実感して、もっと英語が話せるようになろう
大学受験英語、簡単な語彙制限本や児童書は読めるようになりたい
必須の項目に加え、大学受験用の単語集やDuo3.0などの単語集から1冊覚えましょう。ここまでこなすと、英語多読などでも手を出せるものがかなり増えてきます。今から新しく英単語集を買う場合、おすすめはDuo3.0です。
関連記事:【英単語集】『Duo3.0』のレビューと使い方!9000語レベルまではこれ1択!おすすめの単語集です。
大学受験の時に使った単語集(シス単とかターゲットとか)があるという人はそれでかまいません。
語彙制限本の高レベルものや簡単な児童書、SimpleEnglishWikipediaやVOA、私がおすすめしている週刊の英字新聞の 『The Japan Times Alpha(ST)』などを英語多読用の教材として使えるようになります。
関連記事:【英語多読】高校基礎レベルで読めるGraded Readers(語彙制限本)と洋書の児童書のおすすめを紹介します。100万語はここで達成!
ここまできたら英和とともに学習英英辞書もガンガン使って意味調べ、英単語の復習、多読、の一石三鳥を狙っていきたいですね。ロングマン、オックスフォード、コウビルドの学習英英辞書についてもおすすめな点や使い方についての記事を書いていますので参考にして下さい。
大学受験レベルの単語集やおすすめ辞書については「大学受験英語の勉強法 おすすめ参考書の選び方使い方、計画」でも軽く紹介していますので参考にして下さい。
TOEIC、英検1級、TOEFLなど各種資格試験、留学準備
TOEIC、英検、TOEFL、IELTSなどの英語資格試験が目標の人は大学受験レベルの英単語に加え、各種英語試験用の単語集を1冊でいいのでやりましょう。どの試験もめちゃくちゃ有名な定番の単語集ありますよね。
例えばこんな単語集たちです。特にこだわりがなければ、これらのうち、自分が受ける試験のものをしっかり覚えればいいです。それで基本的には困らないと思います。
TOEICはTOEIC用の英単語集で絶対的な存在である『金のフレーズ』をやっておけば大丈夫です。TOEFLは英単語集の収録語数が多いのもあり、1冊でとりあえずはOKです。
関連記事:『TOEIC L&R 出る単特急 金のフレーズ (金フレ)』のレビューと使い方!TOEIC対策はこの単語集と公式問題集がおすすめ!
関連記事:【初心者向け】中学英語からTOEIC600以上の目標スコアを達成する最短ルートの勉強、おすすめ参考書
留学準備については「留学での英語力の伸びを最大にする準備、目安は?」で記事を書いています。
なぜなら、一般の英字新聞や洋書、英語のインターネットサイトなど、何を読んでも英検1級の単語集に載っているような単語がバンバン出てくるからです。本当に普通に出てきます。(もちろん、大学受験や準1級レベルまでの単語に比べると頻度は落ちますが)
当たり前ですが、これは英検1級の単語集に載っている単語を知っていて、その上で英字新聞や洋書やネットなどの英文を実際に読んでいる人なら誰でも分かることです。
私は、「英検1級レベルの単語は、確かに私たちのような学習者には難しい単語。しかし、英検1級の対策としてだけでなく、ゆくゆくは英字新聞や洋書などを読みたいなら勉強する価値は十分にある」と考えています。
一般向けの英字新聞雑誌、洋書、ペーパーバックなど
ここはある意味難易度は青天井なのですが、もちろん比較的簡単な単語で書かれたものもたくさんあります。
英単語暗記(ボキャビル)を続けて、自分の認識語彙が単語数で10000語を超えたくらいから、かなり英語での読書時のストレスが軽減されると思います。自分の覚えた英単語が12000語以上になると、もっと楽になります。(大体14000~15000くらいで一般の小説などの99%程度をカバーできるようです。)
逆に、大学受験用の単語集が終わった程度(6000~7000語レベルでしょうか)の英語の語彙では、何を読んでも1ページに知らない英単語が何個も出てきて読む気が失せるかもしれません。
関連記事:洋書を読むには本当に10000語以上の英単語を覚えることが必要なのか【英語多読・ボキャビル】
関連記事:日本人が洋書を読めない主な理由と、読めるようになるのに必要なこと
私は古本で安いペーパーバックを結構買うのですが、最初の5ページくらいに調べた単語の意味をビッシリ書き込んであって、その後力尽きたと思われるものがたくさんあります。その人が調べたと思われる単語を見てみると「あー、この単語調べなきゃだめな段階では洋書は厳しいよなー」とよく共感してます。自分の英語の語彙レベルに合わせた学習というのはとても大切です。
関連記事:【英語多読】初心者におすすめの洋書最初の1冊は?洋書の選び方のポイントは?効果は?
このサイトでも、「英字新聞の超おすすめ!週刊のThe Japan Times ST(Alpha)を購読して英語力アップ!」という記事で紹介していますので、参考にして下さい。
英会話、英作文(ライティング、スピーキング)に必要な英単語(運用語彙)
運用語彙については、ざっくりと。
何らかの簡単なアウトプットをするつもりがある場合、中学レベルの単語は全ての人に必須です。それにプラスして自分のよく使う表現や専門分野の単語があれば十分かと思います。
英検1級やTOEFLibtのWritingレベルくらいまでなら大学受験用や、Duo3.0レベルの英単語帳に載っているものがしっかり使えれば特に問題ないと思います。
もちろんもっと上の単語も使えるにこしたことはないですが、大学受験レベルくらいの英単語が自由に扱えるというのは十分なレベルです。このレベルまで単語の選択が広がると、英検1級やTOEFLなどで大切な「ワンパターンな表現を避けて、色々な言い回しをする」ということも出来ようになります。パラフレーズというやつです。
また、ライティングやスピーキングのための語彙学習では、「コロケーション」まで意識して覚えることがとても大切です。このパラフレーズやコロケーションについても、それぞれおすすめの本があるので時期をみて記事を書く予定です。
自然な英語を話すためには英語コロケーションの勉強がおすすめ!英会話、瞬間英作文の教材に!これで単語の選択に迷わない!
ライティングやスピーキングでは、必要な単語数・レベルを気にするよりもまずは英文法を自由に使えるようにトレーニングすることをおすすめします。
「瞬間英作文とは?効果を上げる教材と使い方」も参考にして下さい。
市販の英単語集を卒業した後は、英単語数をどうやって増やすの?
英単語学習を始めてある程度の期間が経つと、1つ問題が出てきます。
15000語とかのレベルになると、英単語集が殆どなかったりします。このレベルになると、本屋さんに置いてある普通の単語集では、ほとんどの英単語がもう既に覚えたものばかりになります。数少ない未知語のためにお金を出して英単語集を買うのももったいないな、という気もしてきます。使うなら、
や、植田一三先生の
などの「超上級」レベル設定になっている単語集1択です。
ここあたりからは、いろんな英語をたくさん読んで知らない英単語に出会ったらピックアップして覚えるという、王道のボキャビルが少しずつメインになってくるかと思います。
関連記事:【10000語レベル以上】市販の単語集のレベルを超える英単語力を身につけるには【15000語~20000語レベル】
洋書のボキャビル本もおすすめです。未知語を結構拾えますし、知っている単語も今までと違ったアプローチでボキャビルに取り組む事ができます。
私も「英単語の部屋の3000語(15000語レベル)」を覚えた後は、主に洋書のボキャビル本を使ったり、洋書や英字新聞などで知らない単語をピックアップして覚えていきました。また、英単語の部屋に取り組み始めた頃から、GoogleSpreadsheetで自分用の単語リストも作っています。(もちろんExcelでもいいです。)
そんなに色んな種類の単語集やるの?って人向け
「そんなに何冊も単語集やるの嫌だよ!」っていう人もいるかと思います。
その場合は、アルクのSVL12000の単語リストやその他の単語リストをネットで探して、PCソフトやスマホアプリなどで覚えるのがおすすめです。ちなみに私は大学受験用の単語集を覚えた後はこの方法で英単語暗記(ボキャビル)をしました。(もちろん、パス単1級なども持ってますが、買った時点ですでにほとんどが知ってる単語でした)
しかし、各英語資格試験などの取得を目標にしている場合は、それ専用の単語集の方が効率が良いのは事実ですので注意して下さい。
英語の多読で英単語を覚えたい人向け
「単語集なんてつまらなくてやってられない!多読しながら楽しく英単語を覚えたい」という人はこちらの記事を参考にして下さい。
関連記事:英語多読での英単語の覚え方!洋書を使った効果的なボキャビル方法を紹介します。読むだけでは語彙は増えません。
最後に
英語学習の計画を立てるのに少しでもお役に立てたらうれしいです。
最後に注意としては「単語だけやって満足しない」ことです。厳しい言い方をすると、「英単語暗記(ボキャビル)に逃げるな」ということです。実際に英文をたくさん読んで定着する作業などを決して忘れてはいけません。
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実は私も英語学習で英単語暗記(ボキャビル)が占める時間が他と比べめちゃくちゃ長い時期が少しありました…。
もちろん自分の英語の語彙力を高める努力は必要ですが、他の勉強もバランスよく学習していきましょう。また、コロケーションや英単語の語源を学習することも有効ですね。